編著者:佐藤 方宣[さとう・まさのぶ](1969-) 経済思想史。
著者:高橋 聡[たかはし・さとし](1969-) ワルラス研究。
著者:中澤 信彦[なかざわ・のぶひこ](1968-) 18〜19世紀英国の経済学史・社会思想史、経済哲学・経済倫理学。
著者:太子堂 正称[たいしどう・まさのり](1974-) 経済思想史(ハイエク研究)。
著者:原谷 直樹[はらや・なおき](1978-) 経済思想史。
著者:板井 広明[いたい・ひろあき](1972-) 18~19世紀英国の社会経済思想(ベンサムの功利主義、食の倫理、功利主義フェミニズム等)。
著者:中山 智香子[なかやま・ちかこ](1964-) 経済思想史。
装幀:板井 広明
NDC:335.15 企業、経営
備考:本書には「装幀=板井 広明」と明記されていた。こういった編著書で執筆陣のひとりが装丁を担当するのは極めて珍しい。
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ビジネス倫理の論じ方 - 株式会社ナカニシヤ出版
【目次】
目次 [i-vii]
凡例 [vii]
序章 倫理はなぜ/いかにビジネスの問題となるのか[佐藤方宣] 003
はじめに 003
本書の問い
ビジネスに倫理を!/ビジネスに倫理を?
1 なぜビジネスの倫理なのか 005
政策・制度・法令を問う手前で
「広義のビジネス倫理」への問い
2 ビジネス倫理をいかに問うのか 008
“ビジネス・エシックス”興隆のなかで
思想史的な視点から
3 ビジネス倫理を問うことの困難 010
ビジネスの不道徳(immoral)と非道徳(amoral)
フリードマン――資本主義“擁護”としてのビジネス倫理批判
コント=スポンヴィル――資本主義“批判”としてのビジネス倫理批判
4 個別の問題系へ 016
各章での論じ方
第1章 企業とビジネス――社会的責任はどう問われたか[佐藤方宣] 021
プロローグ 021
1 社会的責任をどう問うか――近年の日本における論議から 023
社会的責任の過剰と減価
「そもそも論」の立場――岩井法人論と岩田法人論
「どうする論」の立場――奥村法人論とドーア法人論
問いの出自への問いへ
2 社会的責任の出自へ 028
「現在」をどこから問うか?
社会的制度としての株式会社――バーリとミーンズ
1920~1930年代アメリカのビジネス・エシックス
専門職としてのビジネス――ドーナムの社会的責任論
社会的責任の三つのタイプとは
3 社会的責任論の展開と揺り戻し 035
バーリ・ドッド論争
バーリの転回と社会的背景
社会的責任からの揺り戻し――バーリとハイエク
その後の大企業論の社会的責任論――ハイルブローナーのフリードマン批判
「企業の政治化」へ
4 責任はどう問われるべきか 041
出自と来歴を経たのちに
責任の割り当てと中間組織
公共的討議と責任
エピローグ 044
注 046
ブックガイド 048
第2章 社会的企業――どこまで何を求めうるか[高橋聡] 051
プロローグ 053
1 社会的企業とは 054
アメリカとヨーロッパの学説
社会的経済(協同組合、共済、アソシエーション)
社会的企業論
2 市場の論理で語りうる領域 061
ブキャナンのクラブ財理論
ワルラスのプラン
3 市場の論理を支える領域 067
信頼――顔の見える人間関係
ソーシャル・キャピタルと社会的企業
連帯感――日常の社交
4 ソーシャル・キャピタルの両義性 074
エピローグ 078
注 079
ブックガイド 082
第3章 組織と仕事――誰のために働くのか[中澤信彦] 085
プロローグ 085
1 分業・公共財・フリーライダー 087
分業のメリット
分業のデメリット
コミュニケーション不全と企業不祥事
公共財
フリーライダー
2 働くことの意味 093
働くことへの多様なモチベーション
ドストエフスキー『死の家の記録』
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』
アイデンティティ
3 なぜ働くのか? 誰のために働くのか? 099
幸福な人間関係
他者からの承認
誰のための仕事?
4 コミュニケーションの結節点としてのリーダー 103
仕事の上位目的と下位目的
組織リーダーの本来の役割
リーダーではなくコミュニケーターあるいはファシリテーター
5 適正規模の組織 109
適正規模の組織を作ることの重要性
組織の適正規模に関するスミスの見解
6 フェア・プレイを重視する社会 112
規制緩和とフェア・プレイ
コンプライアンス経営とコミュニケーション
エピローグ 114
注 115
ブックガイド 116
第4章 競争と格差――何のために競うのか[太子堂正称] 119
プロローグ 119
1 「潰しあいとしての競争」を超えて 121
勝ち組と負け組
格差は何が問題か
競争は卑怯?
「潰しあい」の場としての競争
「弱者」が「市場原理主義」の担い手となる
個人主義と経済原理の奇妙なねじれ
格差積極的肯定論
2 競争は「強者」のためのものか 131
競争は人間にとって悪?
「利己心」と「奢侈」の肯定
「富裕の一般化」と「高賃金の経済論」
限定付の格差の肯定
競争とは相手を蹴落とすことか?
3 格差と自己意識 141
格差の何が問題か
格差と自己意識
「成果主義」ははたして競争の原理か
競争とは競争から「降りる」こと
エピローグ 148
注 151
ブックガイド 152
第5章 消費者主権――お客様は神様か[原谷直樹] 155
プロローグ 155
1 消費の望ましさとは 158
消費の重要性
消費者とビジネス倫理
責任主体としての消費者
2 消費者主権という理念 162
規範的理念としての消費者主権
消費者主権は成立するのか?
ガルブレイスの生産者主権論
消費者運動と消費者の権利
消費者政策における消費者の保護と自立
3 消費者主権を問い直す 170
ハットの消費者主権論
消費と投票のアナロジー
消費者主権の規範性
消費者主権と選択の自由
消費者主権とパレート最適
4 消費者は神様なのか 177
クレーマーの何が問題なのか?
「お客様は神様」か?
エピローグ 180
注 182
ブックガイド 183
第6章 食と安全――何がどう問われるのか[板井広明] 185
プロローグ 185
1 現代における食の問題 187
日本の食
食の安全と安心
2 思想史における「安全」の問題 193
安全=セキュリティー
安全と公開性
食料と監視のシステム
3 食の倫理――われわれは何を食べるべきか 199
南北問題
食の問われ方
功利主義と食の倫理
ヴィーガンの勧め?
エピローグ 210
注 212
ブックガイド 214
第7章 企業と国家――国境を越える責任とは[中山智香子] 217
プロローグ 217
1 経済思想史が示す国家の位置 221
先駆者としてのドイツ歴史学派
新しい代表としてのアメリカと途上国
2 自由貿易を揺るがす倫理的・社会的責任? 226
倫理的・社会的問題と「基準」の位置
保護主義の仮面としての倫理性?
3 MINAMATAの事例 233
社会的責任回避の構造
グローバル世界におけるMINAMATAの意義
4 民営化再考 240
水の商品化が示すもの
エピローグ 244
注 247
ブックガイド 248
参考文献 [251-268]
あとがき(二〇〇九年一月吉日 執筆者を代表して 佐藤方宣) [269-274]
索引 [276-282]
執筆者一覧 [283-284]
【関連記事】
『競争社会をこえて――ノー・コンテストの時代』(Alfie Kohn[著] 山本啓,真水康樹[訳] 法政大学出版局 1994//1992)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20131029/1504008529
『入門経済思想史――世俗の思想家たち』(Robert L. Heilbroner[著] 八木甫ほか[訳] ちくま学芸文庫 2001//1989)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20150301/1473335491
『福祉の経済思想家たち[増補改訂版]』(小峯敦[編] ナカニシヤ出版 2010//2007)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20150417/1473135816
『金融NPO ――新しいお金の流れをつくる』(藤井良広 岩波新書 2007)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20190609/1560006000
『儀礼としての消費――財と消費の経済人類学』(Mary Douglas, Baron Isherwood[著] 浅田彰,佐和隆光[訳] 講談社学術文庫 2012//1984)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20121205/1354633200
『自由を耐え忍ぶ』(テッサ・モーリス=鈴木[著] 辛島理人[訳] NTT出版 2004)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20120817/1345129200