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『民俗学への招待』(宮田登 ちくま新書 1996)

著者:宮田 登[みやた・のぼる](1936-2000)
装幀:間村 俊一
オブジェ撮影(章扉):田島 昭
写真(部扉):林 朋彦

民俗学への招待 (ちくま新書 (064))

民俗学への招待 (ちくま新書 (064))

  • 作者:宮田 登
  • 発売日: 1996/03/01
  • メディア: 新書

【目次】
目次 [003-005]


第I部 民俗学のまなざし 007

第一章 正月の神々――睦月・如月 009
  民俗学の四大人
  コメの力
  餅搗かぬ家
  福の神
  私年号
  神の舟
  ハレとケ
  晴れ着
  寝宿
  若者組
  エビス神
  ゴジラ
  月の暦
  鬼は内
  悪神を祀る
  災厄払い
  旧暦(陰暦)を想う


第二章 震災とユートピア――弥生・卯月 045
  物言う魚
  震災と新しい学問
  震災と世直し
  非常時の仲間
  風呂仲間
  夫婦の再編
  大地を支える柱
  税のルーツ
  男子の三月節供
  庚申は更新
  聴耳頭巾
  太陽のお伴
  お彼岸
  桜の木
  旅は他火
  旅人とまれびと
  船再考
  東京大地震
  災害ユートピア――鯰絵の詞書から


第三章 富士信仰――皐月・水無月 087
  移風の兆候
  弥勒
  噂
  うそ
  日本のメシア
  毒の発生
  山岳修行者
  迷信
  富士塚
  上九一色村
  八十八
  茶と日本人
  生まれ清まり
  白山
  ハヤリ正月
  炎暑の雪
  富士見


第四章 幽霊と妖怪――文月・葉月 121
  盆と霊魂
  化物問答
  稲生物怪録
  タマオクリ
  浮遊する霊魂
  幽霊と妖怪
  古道具の霊
  鳥山石燕
  水木しげる
  ゲゲゲの鬼太郎
  学校の怪談
  いじめ


第五章 都市のフォークロア――長月・神無月 145
  性文化論
  山の神と性
  陰と陽の和合
  富士講の性
  胴上げ
  都市と農村
  都市の増殖
  都市のフォークロア
  孤独な老人
  七不思議
  韓国の都市伝説
  ふるさと再興
  狸の妖怪学
  親指を隠す
  町おこしのイベント
  地域博物館


第六章 民俗学と世相史――霜月・師走 177
  師走
  カワッペリ餅
  ネズミの年
  富士山
  パソコンのフォークロア
  クリスマス・ツリー
  延喜式博物館
  昨日の夜
  鐘の音
  橋の下から
  二つのミンゾク学
  世相の根っこ


第II部 日本文化へのアプローチ 203

一、柳田民俗学の視点 204
二、南方熊楠の視点 209
三、折口民俗学の視点 212
四、日本文化の多元論的観点 214


あとがき(一九九六年二月 宮田 登) [218-219]
事項索引 [220-222]





【関連記事】
・黎明期の民俗学民族学、人類学など含む)について記述のある本。


柳田國男 経世済民の学――経済・倫理・教育』(藤井隆名古屋大学出版会 1995)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20131013/1500546506


『帝国日本と人類学者―― 一八八四‐一九五二年』(坂野徹 勁草書房 2005)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20140205/1491849519


『妖怪の理 妖怪の檻』(京極夏彦 角川書店 2007)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20120609/1339167600


柳田国男――知と社会構想の全貌』(川田稔 ちくま新書 2016)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20170101/1482407134





【抜き書き】
・初出情報(「あとがき」より)。

  本書第1部は、一九九五年一月より十二月まで隔月に『読売新聞』夕刊の文化欄にのせた「民俗学のまなざし」という記事にもとづいている。当初はこれまでの民俗的知識を紹介するつもりだったのが、阪神大震災オウム真理教などの驚天動地の大事件が連発し、そうした世相に直面して生じたイメージを重視することにした。なお同時期に雑誌『うえの』に連載していた「江戸東京歳時記」四篇(「東京大地震」一九九五年三月号、「鯰絵再考」同年十月号、「災害ユートピア」同年十一月号、「富士見」同年十二月号)と『経済往来』一九九五年三月号所収の随筆一篇(「旧暦(陰暦)を想う」)も収載した。第II部は岩波講座10『転換期における人間』(一九八九年八月十一日)所収の「文化研究の方法」の一部を改稿したものである。

・伝統的な共同体における“若者組”について。

若者組に入るのは、15、6歳であり、若者組への参加をもって一人前の男とみなされた。これが元服であり、成人式に相当している。伊豆半島の膨大な若者組の史料が『静岡県史』民俗編に収められているが、それらをみると、きわめて厳しい生活律が定められていることが分かる。掟を破れば当然制裁をうける。自主的な集団であったわけで、家長からは独立した若者の世界をもっており、かれらは家の仕事と村の仕事とを両立させ、年長者によって統率されていた。仲間同士の階級秩序もきちんとしており、一致団結、天災人災に備えた。夜警、消防、難破船の救助活動、村祭り、祝儀不祝儀の手伝いなどあり、また漁村の場合共同でする網漁には先頭に立って働いている。その一方で婚姻の媒介も行っていたのである。寝宿のある地域では、宿親が仲人をつとめて、仲間の友だちが中心となる結婚式だった

/
「第二章 震災とユートピア――弥生・卯月」から。

災害がもたらすなんともいえない不可思議さの1つに、明らかに災害は非常な喪失であるにもかかわらず、時に至福感に近い快い感覚をもたらすという点がある。これはしばしば災害ユートピアと呼ばれる」と社会学者マイケル・バークンは指摘している。生存者と救助に来た局外者との間に善意にあふれる人間関係が生まれ、それが一種の「至福感」を与えるのだろうか。

……Michael Barkun(1938-)のことを私は政治学者にカテゴライズしていた。



・第二部。

柳田自身の方法が結実した成果の1つに『先祖の話』がある。柳田は日本文化あるいは日本人の個性、特殊性をこの書物で力説した。具体的には祖先崇拝のカテゴリーにおける祖霊信仰であり、これはごく普通の農民生活の中で、農家が家ごとに祀っている家の神の伝承の実態を究明して、結局同族の先祖の霊を代々祀るという本来の祖霊信仰を摘出したのである