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『飼う[生命の教養学13]』(赤江雄一[編] 慶應義塾大学出版会 2018)

編者:赤江 雄一 [あかえ・ゆういち](1971-) 西洋中世史(文化史、宗教史)。
著者:光田 達矢[みつだ・たつや](1976-) 歴史学(食と動物の近代史)。
著者:濱野 佐代子[はまの・さよこ] 発達心理学人間動物関係学臨床心理士
著者:斉藤 朋子[さいとう・ともこ] 獣医師。
著者:平岡 潔[ひらおか・きよし](1967-) 技術士(水産部門)。(株)フジキン創造開発事業部。
著者:纐纈 雄三[こうけつ・ゆうぞう](1952-) 応用獣医学、動物繁殖学。
著者:下田 耕治[しもだ・こうじ](1954-) 実験動物学。
著者:奈良 雅俊[なら・まさとし](1959-) 倫理学
著者:大谷 哲[おおたに・さとし](1980-) 古代ローマ史。
著者:原 由利子[はら・ゆりこ] 人権活動家。IMADR事務局長など。
著者:田野 大輔[たの・だいすけ](1970-) 歴史社会学。ナチズム研究。
著者:福田 真嗣[ふくだ・しんじ](1977-) 腸内環境制御学。
シリーズ:生命の教養学;13
NDC:460.4 生物科学、一般生物学
NDC:480.76 動物園、水族館、飼育法
NDC:645 家畜・畜産動物各論


慶應義塾大学出版会 | 飼う | 赤江雄一


 「飼う」というキーワードは、意想外の広がりをもたらす。今回の「飼う」の各論は、身近なペットと人との関係、養殖という食べ物、そして実験動物から古代ローマやナチズム、そして現代日本の人身売買まで見渡していく。さらに、人体の腸内の微生物の機能(ヒトは、微生物を飼っているのか、微生物に飼われているのか?)をあきらかにし、飼うことの倫理学を中心に置く。

【目次】
はじめに(2018年6月 赤江 雄一) [i-iv]
目次 [v]


  I ペットと人

ペットしか見えない都市空間ができるまで――近代ヨーロッパにおける動物たちの行き(生き)場[光田達矢] 003
1. はじめに 003
2. 18世紀ヨーロッパとペット蔑視――動物保護精神の萌芽 004
3. 19世紀ヨーロッパと動物虐待防止運動――動物保護思想の台頭と動物の排除 011
4. 20世紀ドイツにおける動物保護思想の過激化 018


ペットとのコンパニオンシップから得られるもの[濱野佐代子] 025
1. ペット飼育の現状 025
2. ペットとの関係から得られるもの 028
3. 動物介在介入(いわゆるアニマルセラピー) 038


ペットを飼うこと――地域猫と殺処分をめぐる現状[斉藤朋子] 047
1. ペットを飼うこと 048
2. 犬猫の殺処分問題 049
3. ペットを守る法律について 053
4. 地域猫とTNRについて 058


  II 食べるために飼う、実験するために飼う 

チョウザメという食文化を作る戦略[平岡潔] 071
1. チョウザメという魚 072
2. チョウザメ養殖のビジネスプラン 074
3. 「さかな」のビジネスプラン 076
4. 「肉」のビジネスプラン 079
5. 「キャビア」のビジネスプラン 082
6. 水産業の「飼う」 084


国際競争のなかでの日本の養豚生産の現状と諸問題[纐纈雄三] 085
1. 役に立つ動物農業(畜産・養豚) 055
2. 豚の養殖と肥育 090
3. 養豚の生産システム 095
4. 養豚生産での問題点としての福祉問題 097
5. 農業動物の生と死 099
6. 養豚の福祉問題 100
7. ヨーロッパにおける妊娠豚の飼育 102
8. アメリカでの養豚福祉 104
9. 日本での養豚福祉 106


実験動物を「飼う」[下田耕治] 107
1. 実験に使われる動物たち 107
2. 実験動物と動物実験の定義 108
3. なぜ動物実験をするのか? 110
4. 動物実験の根拠 112
5. 飼育管理 115


  III 動物を飼うこと

飼うことの倫理学[奈良雅俊] 129
1. 動物解放論以前 129
2. シンガーの動物解放論 136
3. 動物に権利はあるか? 146
4. 動物解放論以後 149
5. 全体のまとめ 151


  IV 人が人を飼う 

古代ローマの奴隷――境遇の多様性と複雑性[大谷哲] 155
1. ローマ帝国とは 156
2. ローマにおける奴隷の境遇 159
3. 多様で複雑な奴隷のありかた 169
4. 古代ローマにおける奴隷とは?176


日本人の人身売買を考える――問われていることは何か[原由利子] 179
1. 人身売買が意味すること 181
2. 世界の人身売買 182
3. 日本の人身売買の現状 184
4. 日本政府の取り組みと課題 188
5. 問われていることは何か? 191


  V 飼い飼われる共犯関係 

ナチズムにみる欲望の動員[田野大輔] 201
1. ヒトラーに従った「家畜」たち? 201
2. 「民族共同体」 207
3. 統合の焦点としてのヒトラー 212
4. 性的欲望の動員 217
5. 「家畜」たちの暴走 221


「もう一つの臓器」腸内細菌叢の機能に迫る[福田真嗣] 223
1. 腸内環境と私たちの生命活動との複雑な関係 224
2. もう一つの臓器としての腸内細菌叢の機能 240
3. 「茶色い宝石」が切り拓く、病気ゼロの社会 243


奥付 [249]