著者:権 香淑[くぉん・ひゃんすく/Kwon Hyangsuk] 国際関係論。地域研究(東北アジア、東アジア)。
地図作成:具羅夢[ぐらむ]
装丁:福田 真一[ふくだ・しんいち] [DEN GRAPHICS]
件名:民族移動
件名:朝鮮人 (外国在留)
NDLC:DC821
NDC:334.521 : 人口.土地.資源
https://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-2620-8.html
【目次】
もくじ [001-003]
地図 [004-005]
凡例 [006]
まえがき――延辺、東北三省、そして東北アジアへ 007
一方は日本へ、一方は中国へ
現代的な移動の特徴
文献からはわからなかった、フィールド調査からの気づき
激動の東北アジア近現代史との深い関係
この本の流れ
序章 朝鮮族という研究対象と問題の構成 017
研究課題――朝鮮族の移動 018
1 先立つ問い
人の移動の自発性と強制性
近代的自由・国民国家・国籍
朝鮮族の歴史における国籍問題
近代的な理念としての自己統治
2 朝鮮族という研究対象とその問題群
社会集団の矛盾関係と東北アジアの近代における朝鮮族の生成
グローバル・イッシュウの中のエスニシティ
3 本論文の目的と問題設定
なぜヒトなのか
なぜ移動なのか
なぜネットワーク形成なのか
先行研究と本研究の位置づけ 038
1 グローバルな領域におけるエスニック及び ナショナルな境界
国民形成のなかの、エスニシティとネイションの共犯性
エスニシティの可変性・操作性
エスニック/ナショナル・バウンダリーと領域性
エスニシティの領域性と世界システム
2 朝鮮族の移動とエスニック・アイデンティティ
「客観的」に捉える 国内/国際移動
文化間におけ「身体的な移動」
共時的/通時的アイデンティティと〈プリ 意識〉
3 パラダイム転換としてのネットワーク
移動とネットワーク
西洋的近代発の境界的な思考と「移動の文化」
トランスナショナリズム論とネットワークの形成
課題と方法 058
1 実証課題
〈エスニック・マイノリティの自己統治〉という概念設定
東北アジアの近代――〈多重らせん構造〉
2 調査方法と使用するデータ
研究対象と私
フィールドワーク
注 066
第1章 朝鮮族社会の編成――〈グローバル・アプローチ〉からの考察に向けて 069
ナショナルな問題領域 071
1 国民としての朝鮮族
朝鮮族の誕生
「二重帰属状態」
2 中国における朝鮮族研究
少数民族としての研究
〈ナショナル・アプローチ〉
3 〈ナショナル・アプローチ〉の死角
書かれる歴史
朝鮮族知識人の制約性
エスニックな問題領域 083
1 エスニシティとしての朝鮮族
エスニシティ論の登場
「朴氏朝鮮族」と「鉄嶺李氏」
中国朝鮮族遷入史論争
2 民族関係から捉える朝鮮族
牧歌的な共存関係から 共闘関係へ
政治的動乱と朝鮮族
150年の中朝民族関係史
3 〈エスニック・アプローチ〉の限界
国家間関係とエスニシティ
同民族間における差異の問題
エスニック・アイデンティティの活性化
グローバルな問題領域 095
1 人の移動と朝鮮族
朝鮮族の移動史における二つの局面
トランスナショナルな活動
2 世界システムから捉える朝鮮族
世界システムと文化
文化の「共同性」と朝鮮族
三つの意義
3 〈グローバル・アプローチ〉の補考
「文化」概念の静態性
朝鮮族による「生きるための工夫」
ナショナル/エスニック・アイデンティティの神話性
注 112
第2章 重層的な生活実態の一断面――定量的データから 115
近年における中国系・韓国系移住者の来日動向 117
データの概要
重層的な生活実態の一断面 123
1 被調査者の属性
学歴・職業・就業・在留資格
2 来日前後の諸事情
来日前の居住地・日本の親族及び友人の有無
来日時の在留資格・費用及び負担方法・最も大変だったこと
来日 の時期・来日の目的
3 日常生活
アルバイト情報などの入手方法・家庭におけるコミュニケーション言語
毎月必要な生活費・余暇の過ごし方・車両 などの所有状況
4 友人・家族関係
日本にいる朝鮮族の友人・一番親しい友人
配偶関係・家族の結婚状況
5 教育・言語
理想とする教育
言語能力に関する自己評価
6 関心事及び今後の予定
最も知りたい情報及び入手ルート
在留資格の選択・今後の予定
注 147
第3章 来日メカニズムとエスニック・ネットワーク――文化資本をめぐる二極化・階層化の諸問題 149
来日を可能にするメカニズム 151
1 エスニック・ネットワーク
親族や友人がいることが第一の動機
高校の同窓会は日本で
非合法な移動ルート
2 移動主体の動機づけ
最も近くて安く行ける先進国
誰もが経験している魅力的な日本
入国可能な外国
3 制度的・政策的な変化
「留学生10万人計画」と「改正出入国管理法」
中韓国交樹立と身元保証人制度の廃止
「出入国管理基本計画(第二次)」
資源としての文化資本 171
1 可能性
家庭レベル
学校教育レベル
社会レベル
2 制約性
正規のパスポートをもつ移動
未熟練労働を目的とする移動
婚姻による移動
朝鮮族社会の二極化現象と民族内階層化の問題 187
1 非正規就労の現場
請取り「工場」
エスニック間の序列化・階層化
2 日本国籍取得をめぐって
「コリアン系日本人」としての在り方
長期滞在者としての日本国籍の取得
異質性の処遇に関する対応として
3 二極化する朝鮮族社会と就学生・留学生
エスニック間及びエスニック内の階層化
中間層に位置する就学生・留学生
注 202
第4章 移動の歴史と朝鮮族のエスニック・アイデンティティ 205
朝鮮族の歴史における「事実的な移動」 207
前近代における移動
近代における移動――1945以前
近代における移動――1945以後
現代における移動
多重らせん構造における呼称の異相性 219
1 移動の動因
2 東北アジアの近代となまえの異相
〈多重らせん構造〉
なまえの異相
エスニック・マイノリティと「身体的な移動」 229
1 学校と教育
李さんと欧米系コリアンとの出会い
朝鮮族学校における言語・歴史教育
2 国家間関係と戦争
日中間対立の火種
日本国籍と祖父の死
エスニック・アイデンティティの再構築
3 東北アジアにおけるエスニック・マイノリティ
「中華民族」でも「漢民族」でもなく――周辺的存在としての朝鮮族
歴史問題の現在性
民族意識の生成
注 245
集合的アイデンティティの磁場を構成するもの 251
1 ローカルレベルのエスニック・コミュニティ
「在日本中国朝鮮族」とは
朝鮮族社会の一風景――異文化における自文化の凝集性
相互扶助性を基底としてエスニック・コミュニティの形成
2 エスニック・メディアと文化的・経済的な集合行為
「在日本中国朝鮮族」の運動会
自集団の内と外における位置取りとの階層的な異相関係 264
1 天池協会の歩み
記録から見る朝鮮族団体の概要
天池協会の設立趣旨
活動を支える内在的論理
2 「再/脱エスニシティ化」の中の「個人」と「民族」
「個人」と「民族」の接合関係
「脱エスニシティ化」と個人主義
3 エスニック・マイノリティの個人主義と集合主義
自己実現と「個人主義」
「個人主義」と「集合主義」を紡ぐ多元的ネットワーク
選択可能性と操作可能性の諸問題
日本の中のエスニック集団関係――ディスタンクシオンの原理から288
個人レベルでの限定的な交流
個々人の社会的接点
個人的な交流から認識する「我々」の不在
見えない社会集団から見える社会集団へ
「在日本中国朝鮮族」としての「なまえ」を求めて
自集団の価値化に向けた実践――シンポジウムの開催
故障をめぐる議論とディスタンクシオン――「在日」ではなく「在日本」
注 305
終章 跨境人としての朝鮮族――エスニック・マイノリティの自己統治 309
作業仮説と方法論的課題の再確認 310
東北アジアにおける近現代と朝鮮族――連続と断絶の中で 312
1 グローバル・イッシュウとしての朝鮮族の移動
2 東北アジアの中の朝鮮族
〈多重螺旋構造〉と〈多元的帰属意識〉
3 集合行為とエスニシティの活性化
エスニック・マイノリティの自己統治 320
1 結論に代える新たな概念群の提示
〈エスニック・マイノリティの自己統治〉――東北アジア近現代の連続性から
ゲゼルシャフト/ゲマインシャフト論との関連で
〈跨境〉および〈跨境人〉――エスニック・ネットワークの結節点と人
2 ネットワーク・移動・自由
ネットワーク形成のダイナミズム
再び、移動とは? 自由とは?
3 今後の課題――平和的共存に向けて
私たちの課題
〈エスニック・マイノリティの自己統治〉と平和的共存
あとがきにかえて(「韓国併合」100年の節目にあたる2010年冬 韓国・仁川空港にて 権香淑) [339-341]
増補新版◉補論 「在日」する朝鮮族――定住化の諸相 345
留学生の来日と定住化
跨境家族と親族ネットワーク
家族構成の変化
いくつかの論点と今後の課題
「増補新版」のためのあとがき(龍井3・13運動100周年を迎えた2019年の夏に 権 香淑) [358-359]
参考文献 [360-375]
索引 [376-379]
年表 [380-381]
【地図】
東北アジアにおける朝鮮族の移動 [004]
延辺朝鮮族自治州周辺の都市 [005]
東北アジアにおける日本の勢力変遷図 [342-344]