contents memorandum はてな

目次とメモを置いとく場

『〈増補新版〉移動する朝鮮族――エスニック・マイノリティの自己統治』(権香淑 彩流社 2019//2010)

著者:権 香淑[くぉん・ひゃんすく/Kwon Hyangsuk] 国際関係論。地域研究(東北アジア、東アジア)。
地図作成:具羅夢[ぐらむ]
装丁:福田 真一[ふくだ・しんいち] [DEN GRAPHICS]
件名:民族移動
件名:朝鮮人 (外国在留)
NDLC:DC821
NDC:334.521 : 人口.土地.資源


https://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-2620-8.html


【目次】
もくじ [001-003]
地図 [004-005]
凡例 [006]


まえがき――延辺、東北三省、そして東北アジアへ 007
  一方は日本へ、一方は中国へ
  現代的な移動の特徴
  文献からはわからなかった、フィールド調査からの気づき
  激動の東北アジア近現代史との深い関係
  この本の流れ


序章 朝鮮族という研究対象と問題の構成 017
研究課題――朝鮮族の移動 018

  1 先立つ問い
    人の移動の自発性と強制性
    近代的自由・国民国家・国籍
    朝鮮族の歴史における国籍問題
    近代的な理念としての自己統治
  2 朝鮮族という研究対象とその問題群
    社会集団の矛盾関係と東北アジアの近代における朝鮮族の生成
    グローバル・イッシュウの中のエスニシティ
  3 本論文の目的と問題設定
    なぜヒトなのか
    なぜ移動なのか
    なぜネットワーク形成なのか


先行研究と本研究の位置づけ 038
  1 グローバルな領域におけるエスニック及び ナショナルな境界
    国民形成のなかの、エスニシティとネイションの共犯性
    エスニシティの可変性・操作性
    エスニック/ナショナル・バウンダリーと領域性
    エスニシティの領域性と世界システム
  2 朝鮮族の移動とエスニック・アイデンティティ
    「客観的」に捉える 国内/国際移動
    文化間におけ「身体的な移動」
    共時的/通時的アイデンティティと〈プリ 意識〉
  3 パラダイム転換としてのネットワーク
    移動とネットワーク
    西洋的近代発の境界的な思考と「移動の文化」
    トランスナショナリズム論とネットワークの形成 


課題と方法 058
  1 実証課題
    〈エスニック・マイノリティの自己統治〉という概念設定
    東北アジアの近代――〈多重らせん構造〉
  2 調査方法と使用するデータ
    研究対象と私
    フィールドワーク

注 066


第1章 朝鮮族社会の編成――〈グローバル・アプローチ〉からの考察に向けて 069
ナショナルな問題領域 071
  1 国民としての朝鮮族
    朝鮮族の誕生
    「二重帰属状態」
  2 中国における朝鮮族研究
    少数民族としての研究
    〈ナショナル・アプローチ〉
  3 〈ナショナル・アプローチ〉の死角
    書かれる歴史
    朝鮮族知識人の制約性


エスニックな問題領域 083
  1 エスニシティとしての朝鮮族
    エスニシティ論の登場
    「朴氏朝鮮族」と「鉄嶺李氏」
    中国朝鮮族遷入史論争
  2 民族関係から捉える朝鮮族
    牧歌的な共存関係から 共闘関係へ
    政治的動乱と朝鮮族
    150年の中朝民族関係史
  3 〈エスニック・アプローチ〉の限界
    国家間関係とエスニシティ
    同民族間における差異の問題
    エスニック・アイデンティティの活性化


グローバルな問題領域 095
  1 人の移動と朝鮮族
    朝鮮族の移動史における二つの局面
    トランスナショナルな活動
  2 世界システムから捉える朝鮮族
    世界システムと文化
    文化の「共同性」と朝鮮族
    三つの意義
  3 〈グローバル・アプローチ〉の補考
    「文化」概念の静態性
    朝鮮族による「生きるための工夫」
    ナショナル/エスニック・アイデンティティの神話性

注 112


第2章 重層的な生活実態の一断面――定量的データから 115
近年における中国系・韓国系移住者の来日動向 117
  データの概要


重層的な生活実態の一断面 123
  1 被調査者の属性
    学歴・職業・就業・在留資格

  2 来日前後の諸事情
    来日前の居住地・日本の親族及び友人の有無
    来日時の在留資格・費用及び負担方法・最も大変だったこと
    来日 の時期・来日の目的
  3 日常生活
    アルバイト情報などの入手方法・家庭におけるコミュニケーション言語
    毎月必要な生活費・余暇の過ごし方・車両 などの所有状況
  4 友人・家族関係
    日本にいる朝鮮族の友人・一番親しい友人
    配偶関係・家族の結婚状況
  5 教育・言語 
    理想とする教育
    言語能力に関する自己評価
  6 関心事及び今後の予定 
    最も知りたい情報及び入手ルート
    在留資格の選択・今後の予定

注 147


第3章 来日メカニズムとエスニック・ネットワーク――文化資本をめぐる二極化・階層化の諸問題 149
来日を可能にするメカニズム 151
  1 エスニック・ネットワーク
    親族や友人がいることが第一の動機
    高校の同窓会は日本で
    非合法な移動ルート
  2 移動主体の動機づけ
    最も近くて安く行ける先進国
    誰もが経験している魅力的な日本
    入国可能な外国
  3 制度的・政策的な変化
    「留学生10万人計画」と「改正出入国管理法」
    中韓国交樹立と身元保証人制度の廃止
    「出入国管理基本計画(第二次)」


資源としての文化資本 171
  1 可能性
    家庭レベル
    学校教育レベル
    社会レベル
  2 制約性
    正規のパスポートをもつ移動
    未熟練労働を目的とする移動
    婚姻による移動


朝鮮族社会の二極化現象と民族内階層化の問題 187
  1 非正規就労の現場
    請取り「工場」
    エスニック間の序列化・階層化
  2 日本国籍取得をめぐって
    「コリアン系日本人」としての在り方
    長期滞在者としての日本国籍の取得
    異質性の処遇に関する対応として
  3 二極化する朝鮮族社会と就学生・留学生
    エスニック間及びエスニック内の階層化
    中間層に位置する就学生・留学生

注 202


第4章 移動の歴史と朝鮮族エスニック・アイデンティティ 205

朝鮮族の歴史における「事実的な移動」 207
    前近代における移動
    近代における移動――1945以前
    近代における移動――1945以後
    現代における移動


多重らせん構造における呼称の異相性 219
  1 移動の動因
  2 東北アジアの近代となまえの異相
    〈多重らせん構造〉
    なまえの異相


エスニック・マイノリティと「身体的な移動」 229
  1 学校と教育
    李さんと欧米系コリアンとの出会い
    朝鮮族学校における言語・歴史教育
  2 国家間関係と戦争
    日中間対立の火種
    日本国籍と祖父の死
    エスニック・アイデンティティの再構築
  3 東北アジアにおけるエスニック・マイノリティ
    「中華民族」でも「漢民族」でもなく――周辺的存在としての朝鮮族
    歴史問題の現在性
    民族意識の生成

注 245


第5章 「在日本中国朝鮮族」――脆弱性と可能性 249

集合的アイデンティティの磁場を構成するもの 251
  1 ローカルレベルのエスニック・コミュニティ
    「在日本中国朝鮮族」とは
    朝鮮族社会の一風景――異文化における自文化の凝集性
    相互扶助性を基底としてエスニック・コミュニティの形成
  2 エスニック・メディアと文化的・経済的な集合行為
    「在日本中国朝鮮族」の運動会


自集団の内と外における位置取りとの階層的な異相関係 264
  1 天池協会の歩み
    記録から見る朝鮮族団体の概要
    天池協会の設立趣旨
    活動を支える内在的論理
  2 「再/脱エスニシティ化」の中の「個人」と「民族」
    「個人」と「民族」の接合関係
    「脱エスニシティ化」と個人主義
  3 エスニック・マイノリティの個人主義と集合主義
    自己実現と「個人主義
    「個人主義」と「集合主義」を紡ぐ多元的ネットワーク
    選択可能性と操作可能性の諸問題


日本の中のエスニック集団関係――ディスタンクシオンの原理から288
  個人レベルでの限定的な交流 
    個々人の社会的接点
    個人的な交流から認識する「我々」の不在
  見えない社会集団から見える社会集団へ 
    「在日本中国朝鮮族」としての「なまえ」を求めて
    自集団の価値化に向けた実践――シンポジウムの開催
    故障をめぐる議論とディスタンクシオン――「在日」ではなく「在日本」

注 305


終章 跨境人としての朝鮮族――エスニック・マイノリティの自己統治 309
作業仮説と方法論的課題の再確認 310


東北アジアにおける近現代と朝鮮族――連続と断絶の中で 312
  1 グローバル・イッシュウとしての朝鮮族の移動
  2 東北アジアの中の朝鮮族
   〈多重螺旋構造〉と〈多元的帰属意識
  3 集合行為とエスニシティの活性化


エスニック・マイノリティの自己統治 320
  1 結論に代える新たな概念群の提示
    〈エスニック・マイノリティの自己統治〉――東北アジア近現代の連続性から
    ゲゼルシャフトゲマインシャフト論との関連で
    〈跨境〉および〈跨境人〉――エスニック・ネットワークの結節点と人
  2 ネットワーク・移動・自由
    ネットワーク形成のダイナミズム
    再び、移動とは? 自由とは?
  3 今後の課題――平和的共存に向けて
    私たちの課題
    〈エスニック・マイノリティの自己統治〉と平和的共存


    あとがきにかえて(「韓国併合」100年の節目にあたる2010年冬 韓国・仁川空港にて 権香淑) [339-341]


増補新版◉補論 「在日」する朝鮮族――定住化の諸相 345
  留学生の来日と定住化 
  跨境家族と親族ネットワーク
  家族構成の変化
  いくつかの論点と今後の課題


「増補新版」のためのあとがき(龍井3・13運動100周年を迎えた2019年の夏に 権 香淑) [358-359]
参考文献 [360-375]
索引 [376-379]
年表 [380-381]



【地図】
東北アジアにおける朝鮮族の移動 [004]
延辺朝鮮族自治州周辺の都市 [005]
東北アジアにおける日本の勢力変遷図 [342-344]