編著者:山内 進[やまうち・すすむ] (1949-) 法制史。
著者:染田 秀藤
著者:荻野 弘之
著者:奥田 敦
著者:権左 武志
著者:阪口 正二郎
著者:佐藤 哲夫
著者:森村 進
NDC:319.8 外交、国際問題。
NDC:391.1 戦争:哲学
【目次】
はしがき――「正しい戦争」という思想〔山内 進〕 [i-iv]
「正戦」と「正しい戦争」 三つの論点
目次 [v-xiv]
序論 聖戦・正戦・合法戦争――「正しい戦争」とは何か〔山内 進〕 001
1 「正しい戦争」 001
否定・肯定・条件派
条件派の思想としての「正しい戦争」
諸文明における正しい戦争
2 聖戦 010
「正しい戦争」の諸類型
聖戦の諸類型
十字軍
近現代における聖戦
3 正戦――古代・中世 017
正戦と聖戦
キケロー、アウグスティヌス、イシドールス
トマス・アクィナス
4 正戦――近世・近代 024
近世スコラ学
自然法学派(1)――聖戦からの訣別
自然法学派(2)――ヨーロッパの拡大
文明のヨーロッパ
正戦論の転回
5 合法戦争 035
ハーグ平和会議
正戦論の復活――グロティウス主義
国際的合法戦争
第I部 ヨーロッパの内外からみた「正しい戦争」
第1章 異教徒に権利はあるか――中世ヨーロッパの正戦論〔山内 進〕 045
1 ホスティエンシスの理論 045
タンネンベルクの戦い
ホスティエンシスの理論
『黄金の集成』
2 カノン法学の聖戦論(1) 051
グラティアヌス『教令集』の問題提起
異端者との戦い
3 カノン法学の聖戦論(2) 056
インノケンティウス三世と十字軍
フグッチョの十字軍論
アラヌス・アングリクスにおける異教徒の権利
4 私の羊たちを飼いなさい 062
再びホスティエンシス
インノケンティウス四世
パウルス・ウニフディミリ
5 文明と野蛮 068
大航海時代――マルティヌス五世とニコラウス五世
自然法の逆説
文明が野蛮を制する
第2章 《征服はなかった》――インカ帝国征服戦争――正戦論に対する敗者の異議申し立て〔染田 秀藤〕 075
1 インディアス論争とインディヘニスモ 075
勧降状
インディヘニスモ
2 ビトリア、セプールベダ、ラス・カサス 079
ビトリア
セプールベダ
ラス・カサス
征服戦争=聖戦論の否定
3 インディアス論争の風化とアンデスの状況 086
インカ暴君説
行動するインディオ
4 ポマの訴え 089
『新しい記録と良き統治』
偶像崇拝
征服はなかった
傲慢さ
教会は焼け落ちなかった
キリスト教世界アンデス
5 ポマとラス・カサス 101
文字の暴力性
ラス・カサスとポマ
ミティマエ
ラス・カサス主義の継受
第3章 キリスト教の正戦論――アウグスティヌスの聖書解釈と自然法〔荻野 弘之〕 111
1 西欧中世における正戦論の成立 112
2 古代教父における二つの伝統 116
古代教会の平和主義とその転換
ローマ帝国とキリスト教
3 アウグスティヌスの聖書解釈 119
正戦諭の源泉としてのアウグスティヌス
相反する解釈
4 選民イスラエルと「聖戦」の可能性 135
神裁政治と古代の聖戦
イスラエルの聖戦
戦争記事をどう理解するか―― 三つの類型
アウグスティヌスの旧約解釈
5 現代のキリスト教正戦論と平和主義の課題 140
国民国家と戦争の世俗化
冷戦下での戦争観
宗教的正戦論の可能性と課題
第4章 イスラームにおける正しい戦い――テロリズムはジハードか〔奥田 敦〕 145
1 ジハードとは何か? 145
ジハードの真の意味を問う
クルアーンのなかのジハード
戦闘的なジハード
2 戦闘行為によるジハード 151
敵対に対する敵対
盟約
戦闘的ジハードの倫理性
3 テロリズムはジハードか? 157
イルハーブ
畏敬に値する文明の確立
イスラームの教えにおける人命の重さ
4 なぜ自爆テロはやまないのか? 162
パレスチナの例外的状況
カラダーウィーの三つの疑問
抵抗運動
武装による平和の限界
5 最善のジハード 167
政府の不在
不信心者に従ってはならない
最善のジハード
第III部 現代の「正しい戦争」論――ヨーロッパとアメリカ
第5章 20世紀における正戦論の展開を考える――カール・シュミットからハーバーマスまで〔権左 武志〕 175
1 欧州正戦論への問い 175
2 ポスト冷戦期における正戦概念の復活――ハーバーマスのコソボ空爆擁護論 178
コソボ空爆=「人道的介入」擁護論
国際関係の法制化
法と道徳の境界線上の戦争
3 戦間期における正戦論の起源―― C・シュミットの正戦批判 184
国際連盟論
最初の正戦批判
正戦批判の本格化
正戦批判の集大成
4 9・11以後における正戦論の再活性化――ハーバーマスのイラク戦争批判 191
「テロリズムとの戦争」批判
「中東の民主化」批判
「軍事的ヒューマニズム」批判
5 欧州正戦論の意義 200
第6章 最近のアメリカが考える「正しい戦争」――保守とリベラル〔阪口 正二郎〕 204
1 アメリカにおける「正しい戦争」論の磁場 204
自由と民主主義の国
「自由と民主主義の国」の戦争
「自由と民主主義の国」の反テロ戦争
国際法上合法な戦争 合法な戦争と正しい戦争
2 保守派の正戦論――エルシュテインの議論 213
知識人の共同声明
正戦としての反テロ戦争
3 左派の正戦論――ウォルツアーの議論 218
ウォルツアーの正戦論
正戦と人道的介入
4 人道的介入のわな――イグナティエフの迷走 223
ヒューマニズムと人道的介入
人道的介入としてのイラク戦争
5 アメリカの正戦論をどう受けとめるべきか 227
「自由の女神」とアメリカ
日本国憲法と正戦
第7章 国際法から見た「正しい戦争」とは何か――戦争規制の効力と限界〔佐藤 哲夫〕 233
1 「正しい戦争」をめぐる歴史的展開 234
近代初期の正戦論
19世紀における無差別戦争観
2 戦争違法化と国際連盟 238
国際連盟の集団的安全保障制度
評価と実際
3 現在の武力行使の規制枠組み 243
国際連合憲章の集団的安全保障制度
武力行使禁止原則の例外の拡大
4 冷戦の解消と国連安全保障理事会 249
5 岐路に立つ武力行使規制枠組み――最近の三つの事例 251
NATOによるコソボ空爆――人道的干渉
アメリカによるアフガニスタン侵攻――国際テロリズム
米英によるイラク攻撃――大量破壊兵器の拡散防止
むすびにかえて――「正しい戦争」の道徳性〔森村 進〕 [263-269]
引用・参考文献 [21-32]
事項索引/人名索引 [3-20]
著者紹介 [1-2]