著者:宮本 省三[みやもと・しょうぞう] 理学療法士。
件名:運動療法
件名:認知科学
NDC:494.78 外科学 >> 整形外科学 >> リハビリテーション
『脳のなかの身体 認知運動療法の挑戦』(宮本 省三):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部
【目次】
はじめに [003-006]
目次 [007-009]
序章 怪物との闘い 011
恐ろしい怪物
敗北の先の光明
患者さんに守ってもらいたいささやかな規則
脳は空よりも広い
第一章 脳損傷により身体に何が生じるのか 021
1 運動麻痺――思うように動かない手足 022
随意運動の障害
運動麻痺の分類
脳卒中による「痙性麻痺」
運動麻痺の回復と予後
リハビリテーション治療への期待
2 感覚麻痺――世界を感じ取れない手足 033
体性感覚
表在感覚
深部感覚
脳卒中と感覚麻痺
感覚と運動は分離できない
感覚麻痺の回復
3 身体空間の変質 042
空間モザイク
体性感覚空間の変質
脳卒中片麻痺の身体空間
4 身体の高次脳機能障害――所有感覚と主体感覚の異常 049
身体の「所有感覚」と「主体感覚」
統合失調症のさせられ体験
四肢切断患者の幻視
病態失認(半側身体失認)
半側空間無視
失行症
自己の身体との対話
5 失われる「私の身体」――ゼロになるからだ 062
ゼロになるからだ
モリニュクス問題
「生物的に可能な運動」と「生物的に不可能な運動」
死んだ肉
身体の声を聴け
第二章 ホムンクルスの脳科学 073
1 脳の表象 074
「脳のなかの身体」を治療する認知運動療法
脳は「身体、物語、人生」をつくり出す
生きている世界
あるものの代わりにある何か
大脳皮質の地図
心的表象
「身体化された心」と「ニューロン人間」
2 ホムンクルス 085
脳の中の小人
運動野と感覚野の地図
ペンフィールドの実験室
主体の意志をめぐる謎
3 身体部位再現 094
運動野の「単一身体部位再現説」と「多重身体部位再現説」
感覚野の「単一身体部位再現説」と「異種感覚分別再現仮説」
新しいホムンクルスの謎
身体の謎細分化
脳の機能システム
心的イメージ
4 身体イメージ 105
脳の身体表象
身体イメージと身体図式
身体イメージの神経生理学
身体イメージと言語
5 運動イメージ 112
運動の心的シミュレーション
筋感覚イメージと視覚イメージ
運動野は認知器官か
運動イメージの臨床研究
あらゆる行為には運動イメージが先行する
第三章 脳のリハビリテーション 123
1 人間機械論批判 124
リハビリテーション治療の現状
四つの命題
身体を死んだ肉塊におとしめてはならない――マッサージ治療
身体をもの言わぬ物体として扱ってはならない――関節可動域訓練と筋の伸張訓練
身体を自動的に動く解剖標本として理解してはならない――筋力トレーニング
身体を刺激に反応する物体と解釈してはならない――日常生活動作訓練とファシリテーション
伝統的な運動療法との決別
2 世界に意味を与える身体 136
人間機械論を変革する身体思想
情報の受容表面としての身体
自己受容能力を特徴とする身体
物体に複数の意味を与える身体
「身体を使って世界に意味を与える能力」の障害
3 認知運動療法とは何か 145
患者に思考を要求する
問題−仮説−解答
認知課程の活性化
治療計画の立案
認知運動療法の実際
学習と教育
4 運動機能回復は運動学習である 161
運動学習過程としての運動機能回復
伝統的な運動療法の運動学習理論
[動機づけ理論にもとづく運動療法]
[筋力増強理論にもとづく運動療法]
[神経運動理論にもとづく運動療法]
認知運動療法の運動学習理論
学習の転移
行為の創発
脳のリハビリテーションへ
5 経験は脳を改変する 173
ダイナミックに変化する脳
認知の変化により可塑性が生じる
脳は損傷後も学習する
身体を使って世界に意味を与える経験
「身体意識」に働きかける経験
経験と科学のダンス
第四章 認知運動療法によって何が回復するのか 185
1 ある患者の証言 186
私の名前はヴァレリア
一人ひとりの患者は治療するということ
2 脳卒中片麻痺の回復――随意運動の回復と自然回復 194
脳卒中片麻痺患者に対するリハビリテーション治療の流れ
[脳卒中片麻痺の発症]
[急性期リハビリテーション]
[回復期リハビリテーション]
[維持期リハビリテーション]
リハビリテーション医療の改革とリハビリテーション治療の刷新
裏切られた期待
リハビリテーションに奇跡はない、しかし進歩はある
随意運動の回復
脳の機能解離と急性期の自然回復
脳には回復に向けてのプログラムは存在しない
3 運動麻痺と感覚麻痺の回復 206
認知運動療法による運動麻痺の回復
異常な伸張反射の制御
[上肢の伸張反射の制御]
[下肢の伸張反射の制御]
放散反応・原始的運動スキーマ・運動単位の動員異常
認知運動療法による感覚麻痺の回復
運動麻痺と感覚麻痺の回復とは痙性麻痺の回復を意味する
4 身体空間の回復 214
空間との対話
身体イメージと運動イメージの回復
脳の損傷領域
感覚の情報変換
世界の差異と同一性
5 「私の身体」を取り戻す――身体意識の回復 223
自分の身体ではないという意識
身体の所有感覚と身体内感
身体の主体感覚とキネステーゼ
自己固有感覚の消失
意識経験の一人称記述
私の歩み
おわりにかえて――見果てぬ夢(二〇〇八年一月二十五日 宮本省三) [237-249]
参考文献 [250-254]