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『ポライトネスの語用論』(Geoffrey Leech[著] 田中典子[監訳] 熊野真理ほか[訳] 研究社 2020//2014)

原題:The Pragmatics of Politeness
著者:Geoffrey N. Leech(1936-)
監訳:田中 典子[たなか・のりこ](1954-) 
訳者:熊野 真理[くまの・まり](1964-) 
訳者:斉藤 早智子[さいとう・さちこ](1957-) 
訳者:鈴木 卓[すずき・たかし](1964-) 
訳者:津留崎 毅[つるさき・たけし](1955-) 
装丁:黒瀬 章夫[くろせ・あきお](1984-) ナカグログラフ
件名:ポライトネス (言語学)
NDLC:KE12
NDC:801 : 言語学


研究社 - 書籍紹介 - ポライトネスの語用論


【目次】
Colophon [ii]
目次 [iii-ix]
監訳者はしがき(2020年5月 新型コロナウイルスの収束を祈りつつ 田中典子) [xi-xv]
まえがき [xvii-xxii]
省略形と特殊記号 [xxiii-xxv]


第1部 基礎を固める
 
第1章 序論
1.1 ポライトネスの8つの特徴 005
1.2 覚えておくべきいくつかの区別 012
  1.2.1 三価と二価のポライトネス 
  1.2.2 Pos-ポライトネスとNeg-ポライトネス
  1.2.3 語用言語学と社会語用論
  1.2.4 語用言語学的ポライトネスと社会語用論的ポライトネス
  1.2.5 聞き手に対するポライトネスと第三者に対するポライトネス
  1.2.6 ポライトネスの社会的説明と心理的説明
    1.2.6.1 ポライトネスの社会的説明:礼譲
    1.2.6.2 ポライトネスの心理的な説明:フェイス


第2章 ポライトネス:様々な視点
2.1 何が説明されるべきか? 5つの被説明事象 043
2.2 ポライトネス理論またはポライトネス・モデルの概観 047
  2.2.1 Robin T. Lakoff
  2.2.2 Brown and Levinson
  2.2.3 Geoffrey Leech
  2.2.4 Yueguo Gu
  2.2.5 Sachiko Ide
  2.2.6 The Cross-Cultural Speech Act Realization Project (CCSARP)
  2.2.7 Bruce Fraser and William Nolen
  2.2.8 Horst Arndt and Richard Janney
  2.2.9 フレーム・アプローチ:Aijmer, Terkourafi, 他
  2.2.10 Spencer-Oateyとラポール・マネジメント
  2.2.11 Richard J. Watts
2.3 本書で示すモデルと他のモデルとの比較 062
2.4 その他の基本的な問い 069
  2.4.1 ポライトネスを解剖する
  2.4.2 ポライトネスは、話し手、聞き手、あるいは双方の、心にあるのか?
  2.4.3 ポライトネスにはどのような論拠が挙げられるか
  2.4.4 ポライトネスはどの学問分野に属しているか
2.5 結論 077


第3章 語用論、間接性、neg-ポライトネス:ポライトネス・モデル構築のための基礎
3.1 語用論に関する問題解決的視点:Sの問題とHの問題 079
3.2 単文、命題、語用論的効力 082
  3.2.1 行為指定のカテゴリー
  3.2.2 統語論的、意味論的、語用論的レベルにおける抽象化のための用語
3.3 感嘆文とその他の孤立表現(語用論的小辞を含む) 092
3.4 デフォルト解釈とデフォルト決定 094
3.5 語用論的意味の表示 097
3.6 新グライス流のデフォルト思考 101
3.7 言語規約による含意と語用論化 105
3.8 要約と結論 108


第4章 ポライトネス:そのモデル
4.1 Brown and Levinson (1978/1987) とLeechの Principles of Pragmatics(1983) への批判 114
  4.1.1 私の Principles of Pragmaticsに対するBrown and Levinsonその他による批判

4.2 Principles of Pragmatics (Leech 1983) におけるポライトネス理論を述べ直す 123
  4.2.1 ポライトネスの原則
  4.2.2 2種類のポライトネス尺度線
  4.2.3 発語内行為のゴールと社会的ゴール

4.3 Principles of Pragmaticsにおけるポライトネスの行動指針を再考する 127
  4.3.1 GSPを追求し、Sは表4.1(M1) ~(M10) の価値判断を示す意味を表現/暗示する
    (M1) Oの欲求に高い価値を置け(気前のよさの行動指針) 
    (M2) Sの欲求に低い価値を置け(気配りの行動指針) 
    (M3) Oの特質に高い価値を置け(是認の行動指針) 
    (M4) Sの特質に低い価値を置け(控えめの行動指針) 
    (M5) Oに対するSの責務に高い価値を置け(Oに対するSの責務の行動指針)
    (M6) Sに対するOの責務に高い価値を置け(Sに対するOの責務の行動指針) 
    (M7) Oの意見に高い価値を置け(同意の行動指針) 
    (M8) Sの意見に低い価値を置け(意見抑制の行動指針) 
    (M9) Oの感情に高い価値を置け(共感の行動指針) 
    (M10) Sの感情に低い価値を置け(感情抑制の行動指針) 
  4.3.2 さらに調査を要する事柄

4.4 重要な注意書き及び補足説明 141
  4.4.1 人はポライトであると同様インポライトである
  4.4.2 ポジティブ・ポライトネスとpos-ポライトネス
  4.4.3 会話のアイロニーとからかい
  4.4.4 制約は競合したり衝突したりする
  4.4.5 適度なポライトネスを算定するため、私たちは(社会語用論的)尺度を用いる
  4.4.6 ポライトネスをHに帰する

4.5 ポライトネスに関する言語・文化間の違い 150
  4.5.1 ポライトネスの語用言語学的側面
  4.5.2 ポライトネスの社会語用論的側面
    4.5.2.1 ポライトネスの規範に影響を与える尺度上の量的差異
    4.5.2.2 ポライトネスの規範に影響を与える尺度上の質的差異
      社会的距離は文化によって異なる解釈がなされる:
      社会的に規定された権利と責務の違い:
      負担/利益の評価における違い:
  4.5.3 三価ポライトネス:3つの次元だけでいいか

4.6 敬語に関するポライトネスについての補遺 154
4.7 フェイスについての補遺 157
4.8 ポライトネスの普遍性についての暫定的結論 158


第2部 英語使用におけるポライトネスとインポライトネス
 
第5章 ケース・スタディ:謝罪
5.1 謝罪:プロトタイプ・カテゴリーとして見る発話事象 164
5.2 余談:謝罪その他の発話事象 170
5.3 典型的謝罪と非典型的謝罪 173
5.4 謝罪:語用言語学的側面 177
  5.4.1 Sorry
  5.4.2 Excuse me / Pardon (me)
  5.4.3 I apologize, I beg your pardon
5.5 謝罪:社会語用論的側面 183
5.6 謝罪に対する応答 185
5.7 公的な謝罪 187
5.8 結論 190


第6章 依頼と、その他の行為指示
6.1 依頼とは何か? 依頼とそれに関連する発話事象 192

6.2 依頼領域の変数 198
  6.2.1 Oに焦点を当てた依頼とSに焦点を当てた依頼 201
  6.2.2 オン・レコードとオフ・レコードのストラテジー 204
  6.2.3 連続性についての余談 209

6.3 行為指示のためのストラテジー 211
  6.3.1 直接的ストラテジー 211
  6.3.2 オン・レコードの間接的ストラテジー:陳述 213
  6.3.3 オン・レコードの間接的ストラテジー:質問 220
    (a) will, would を伴う意志のの質問
    (b) 能力・可能性の質問:can you, could you, etc.
  6.3.4 文を用いないストラテジー 227
  6.3.5 ヒント:オフ・レコードの間接的依頼 229
    (a) 陳述によるヒント
    (b) 疑問文によるヒント

6.4 語用論的修飾表現 232
  6.4.1 内的修飾表現 233
  6.4.2 外的修飾表現 251
  6.4.3 支持的ムーブ 256
6.5 依頼への応答 259
6.6 結論 262


第7章 その他のポライトネスに敏感な発話事象
7.1 申し出、招待、請負 265
7.2 ほめと批判 275
  7.2.1 ほめへの反応 279
  7.2.2 間接的な、または緩和された批判 284

7.3 感謝 292
  7.3.1 感謝への応答 298

7.4 同意、不同意、助言、そしてOに焦点を当てた提案 299
  7.4.1 同意と不同意 299
  7.4.2 助言とOに焦点を当てた提案 304

7.5 祝い、哀悼、祈願 310
  7.5.1  祝い 310
  7.5.2 哀悼、弔意 314
  7.5.3 祈願、挨拶、告別 317

7.6 結論 321


第8章 ポライトネスと、その「反対概念」
8.1 ノンポライトネス:ポライトネスもしくはインポライトネスの不在 322

8.2 インポライトネス 326
  8.2.1 ポライトネス理論はどの程度までインポライトネス理論になりうるか 328
  8.2.2 インポライトネスのタイプを例証する:『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』より 333
    (M1) 気前のよさの行動指針への違反 
    (M2) 気配りの行動指針への違反 
    (M3) 是認の行動指針への違反 
    (M4) 控えめの行動指針への違反 
    (M5) Oに対する責務の行動指針への違反、(M6) Sに対する責務の行動指針への違反 
    (M7) 同意の行動指針への違反 
    (M8) 意見抑制の行動指針への違反 
    (M9) 共感の行動指針への違反 
    (M10) 感情抑制の行動指針への違反 
  8.2.3 話者交替、発言権保持、及び談話管理のその他の側面におけるインポライトネス 339
  8.2.4 ポライトネスとインポライトネスが対にならない場合:「無礼」(rudeness)の定義 341
  8.2.5 無礼に関する結び 345

8.3 冷笑または会話のアイロニー(conversational irony) 346
  8.3.1 アイロニーの原則:疑似ポライトネス 347
  8.3.2 会話のアイロニーへの2つの引きがね:控えめ表現と態度衝突 353

8.4 からかい(Banter):疑似インポライトネス 355
  8.4.1 最後の覚え書き:語用論的諸原則の階層とは? 359


第3部 さらなる展望
 
第9章 データ収集の方法:実証的語用論
9.1 各方法の概観 365

9.2 ランクづけ、多肢選択、面接の各タスク 369

9.3 談話完成テスト (DCT) 371

9.4 クローズド・ロールプレイとオープン・ロールプレイ 373

9.5 本物の談話の観察 375
  9.5.1 フィールドノート
  9.5.2 談話分析
  9.5.3 コーパス分析  

9.6 結論 383


第10章 中間言語語用論と異言語・異文化間ポライトネス
10.1 中間言語語用論の背景 385
10.2 ILP研究の枠組み 389
10.3 異なるL1を持つ英語学習者に関する研究 395
10.4 ILPデータ収集の方法 396
10.5 ILP研究とポライトネス 398
10.6 ILPとポライトネスの原理 400
10.7 ILPと異文化間語用論 402
10.8 GSPモデルに基づいたILP仮説 410
10.9 結論 411


第11章 ポライトネスと英語史
11.1 歴史語用論とポライトネス 414
11.2 古英語におけるポライトネス(1100年以前) 416
11.3 中英語におけるポライトネス(1100~1500年) 419
11.4 近代英語におけるポライトネス(1500年以降) 423
11.5 最近そして現在の変化 430
11.6 結び:ポライトネスの衰退? 434


付録 語用論とneg-ポライトネス:その背景
A1 現代のポライトネス研究の先駆者たち:素描 446
  A1.1 語用論への哲学的前書き:(A) 発話行為
  A1.2 語用論への哲学的前書き:(B) Griceの協調の原則
  A1.3 語用論への哲学的前書き:(C) 間接発話行為
A2 サール-グライス流語用論への新たな「見方」 465
A3 結論 470


参考文献 [471-489]
索引 [491-500]
訳者紹介 [501]





【関連記事】
・語用論の日本語文献。
『ポライトネス――言語使用における、ある普遍現象』(Penelope Brown, Stephen C. Levinson著 斉藤早智子ほか訳 研究社 2011//1987)

『わきまえの語用論』(井出祥子 大修館書店 2006)

『語用論の基礎を理解する』(Gunter Senft著 石崎雅人, 野呂幾久子訳 開拓社 2017//2014)

『「させていただく」の語用論――人はなぜ使いたくなるのか』(椎名美智 ひつじ書房 2021)