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目次とメモを置いとく場

『ウクライナ戦争と向き合う――プーチンという「悪夢」の実相と教訓』(井上達夫 信山社新書 2022)

著者:井上 達夫[いのうえ・たつお](1954-) 法哲学
シリーズ:信山社新書 - 法と哲学新書;03


ウクライナ戦争と向き合う ― プーチンという「悪夢」の実相と教訓 - 信山社出版株式会社 【伝統と革新、学術世界の未来を一冊一冊に】


【目次】
巻頭言 [iii-iv]
目次 [v-xii]


プロローグ――我々は何処へ行くのか 003
一 増幅する悪夢的現実 003
  (1) 疫学的危機と政治的危機の拡大再生産 
  (2) 戦争長期化の懸念と世界の行く末への不安 


二 本書が向き合う問題 010
  (1) ウクライナ戦争の性質と原因 
  (2) 戦争終結への道筋 
  (3) ウクライナ戦争が日本に突き付ける課題 
    当事者意識の希薄性 
    九条問題の正面解決――立憲主義的安全保障体制の確立 


第一章 いかなる戦争が戦われているのか
一 「ロシアは侵略していない」という不思議な「論理」 027
  (1) 「ネオナチ的支配からのウクライナ解放」という言説の呪力 
  (2) 「集団的自衛権行使」論の虚妄性 


二 「NATOの東方拡大がプーチンを追い詰めた」のか? 035
  (1) 国際政治におけるリアリズム派の「NATO東進帰責論」 
  (2) NATOの変容――集団的自衛権体制から地域的集団安全保障体制へ 
    冷戦期対立構図の崩壊によるNATOの機能転換 
    NATO東進帰責論の米国陰謀説的偏見 
    NATO・ロシア関係の変遷 
  (3) コソボ紛争NATO・ロシア関係 
    NATOコソボ紛争軍事介入とエリツィンの核恫喝発言 
    プーチンの親米的・親NATO的対応 
  (4) ロシアの軍事的攻勢とNATOのロシアに対する軍事的非関与主義 
    攻めるプーチン、自制するNATO 
    民主化の波へのプーチンの軍事的応答 
  (5) 「リアリスト的プーチン像」の破綻 


三 「西側」の責任はどこにあるのか――責任の問い方に潜む罠 063
  (1) 米国とNATOの真の罪責 
    「西側」の欺瞞に対するプーチンの応酬 
    バイデン陰謀説の欠陥 
    「バイデンのそそのかし」より巨大な米国の罪責 
  (2) 自己批判の陥穽――「二悪二正論」を越えて 
    戦争責任問題における「二悪二正論」の呪縛 
    「二悪二正論」の自壊性と執拗性 
  (3) 「チョムスキーよ、お前もか」 
    対露宥和主義へのチョムスキーの傾斜 
    ウクライナ知識人たちの公開書簡 
    チョムスキーの意図の好意的解釈――ウクライナへの愛? 
    「自己批判の陥穽」へのチョムスキーの転落 


四 プーチンウクライナを侵略した真の狙いは何か 096
  (1) 「ユーラシアニズム」というアイデンティティ政治への転向? 
    ロシアにおけるユーラシアニズムの復活とプーチン 
    ミンスク合意の虚妄性 
    ウクライナ征服のイデオロギー的道具 
  (2) 「対外硬、内に憂あり」――プーチンの自己保身戦争 
    挑発されざる戦争に為政者が走る一般的理由 
    民主化の波に対するプーチンの自己保身 
    自己保身主因論に対する批判への応答――陰りゆくプーチンの威光 
    軍人イヴァショフによるプーチン批判 
    アイデンティティ起業家的プーチン像と自己保身主因論の整合性 


第二章 戦争はいかにして終わり得るのか
一 ウクライナ戦争の実相認識と国際社会の対応 135


二 第三国の仲介調停による紛争解決の可能性――中国の利害と期待可能な役割 139
  (1) 戦況の膠着と停戦交渉の頓挫――調停役はいないのか 
    ロシアとウクライナの亀裂拡大と第三者的調停役の不在 
    調停者としての中国の可能性 
  (2) 中国の政治的・経済的利害状況 
    中国経済の沈下要因としてのロシア 
    中国の国際政治原則・世界戦略を掘り崩すロシア 
    中国の戦略的利害が見えていない習近平 


三 戦争泥沼化の行く末――破滅は止められるか 155
  (1) 戦術核兵器使用から第三次世界大戦へ?
    「戦術核兵器限定使用」の非現実性 
    「核のブラフ」への屈従の自壊性 
  (2) ロシアが勝てない戦争をプーチンが止めない理由 
    米国とソ連の失敗から学習できないプーチン 
    なぜロシアはウクライナ戦争に勝てないのか 
    プーチンの戦況認識が歪められている可能性 
    戦況が不利でもプーチンが戦争を止められない理由 
  (3) 「テレビと冷蔵庫の戦い」――ロシア国民は覚醒できるか 
    ロシア国民しかプーチンを止められない 
    アレクイシエービッチの「知恵の言葉」――ロシア国民の変容可能性 
    「プーチンが排除されても明るい展望は開かれない」のか? 
    「冷蔵庫をテレビに勝たせる」ための対露経済制裁の意義と効果 
    対露経済制裁強化はロシア国民に対して苛酷か? 
    ロシアの民に捧ぐ、ディランとともに―― To Russians, with Dylan 


第三章 この戦争から日本は何を学ぶべきか

一 ウクライナ戦争の「当事者意識なき当事者」日本 197
  (1) 「反ロシア共同戦線」への日本の参加 
    「火事場」に立ち入った日本 
    ミロノフの恫喝の意味 
  (2) サハリン・プロジェクト撤退問題――危機管理意識なき日本 
    問題認識の倒錯――敵に回したロシアに依存し続けたい日本 
    エネルギー政策の抜本的転換ができない日本


二 立憲主義的統制に服する自衛戦力の確立 217
  (1) 「危なすぎて使えない軍隊」としての自衛隊 
    「仁義なき戦争」が跋扈する国際社会 
    日本の安全保障体制の根本的欠陥――憲法九条と自衛隊の矛盾の放置 
    自民党改憲四項目案」の愚 
    なぜ自衛隊は「使えない軍隊」なのか 
    最低限の憲法九条改正構想 
  (2) 国際社会は「自らを助くる者のみを助く」 
    「戦うウクライナ」が変えた欧米の支援姿勢 
    「平和を愛する諸国民の公正と信義」の実相 
  (3) 「日米安保信仰」を超えて 
    護符としての日米安保――「いざとなったら米軍が護ってくれるから大丈夫」 
    護符の効験の実相 
    自主防衛能力確立と日米安保体制対等化の不可分性 


エピローグ――壊れやすきもの、汝の名は世界(二〇二二年八月 ウクライナの戦禍を思いつつ終戦記念日を過ごした後に 井上達夫) [257-268]




【関連記事】
・本書の前提にあるgrobal justiceの書。
『世界正義論』(井上達夫 筑摩選書 2012)

・その他の著作(のうち、弊ブログで掲載しているもの)。
『普遍の再生』(井上達夫 岩波書店 2003)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20140201/1483695738

『自由の秩序――リベラリズム法哲学講義』(井上達夫 岩波現代文庫 2017//2008)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20171129/1511881200

『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください――井上達夫法哲学入門』(井上達夫 毎日新聞出版 2015)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20180313/1520441257
『タバコ吸ってもいいですか――喫煙規制と自由の相剋〈法と哲学新書〉』(児玉聡 奥田太郎 後藤励 亀本洋 井上達夫 信山社 2020)
https://contents-memo.hatenablog.com/entry/20201221/1608479700

『おとなの発達障害――診断・治療・支援の最前線』(小野和哉ほか 光文社新書 2020)

監修:岩波 明[いわなみ・あきら](1959-) 精神科医。精神生理学(うつ病薬物療法統合失調症の認知機能障害、精神疾患と犯罪など)。
著者:小野 和哉[おの・かずや](1960-) 
著者:林 寧哲[はやし・やすあき](1966-) 
著者:柏 淳[かしわ・あつし](1963-) 
著者:本田 秀夫[ほんだ・ひでお](1964-) 
著者:松岡 孝裕[まつおか・たかひろ](1988-) 
著者:横井 英樹[よこい・ひでき]
著者:鈴木 慶太[すずき・けいた]
著者:高山 恵子[たかやま・けいこ]
編集協力:佐々木 とく子[ささき・とくこ] フリーライター
NDC:493.76 内科学


おとなの発達障害 診断・治療・支援の最前線 岩波明/監修、小野和哉、林寧哲、柏淳 ほか | 光文社新書 | 光文社


【目次】
はじめに(岩波明) [003-009]
目次 [011-016]


第1章 成人期発達障害とは何か 
1 発達障害とは何か 019
  「発達障害」という概念の形成
  生物学的な分類と、理念的な分類「カテゴリー」
  発達障害はカテゴリーを超えた包括的概念
  発達障害精神障害を網羅する「ESSENCE」

2 成人期発達障害の課題 025
  成人期発達障害の診断における課題
  成人期発達障害の治療における課題

3 発達障害における基盤障害の探索 030
  実行機能障害仮説から神経ネットワーク機能障害仮説へ
  デフォルト・モード・ネットワーク障害仮説
  DMNと脳の成熟過程の遅れ

4 ADHDASDの関係 039
  併存すると重症度が高まる
  ADHDASDの関係はグラデーション
  ADHDASDを併存の有無から分類する
  ADHDASDの併存の仕方による経過の違い

5 成人期ADHDの特性と連続性
  子ども時代にADHDではなかった成人期ADHD
  成人期ADHDの特徴とこれからの課題

6 発達障害精神障害における今後の展望 057
  発達障害精神障害の関係
  発達障害とゲノムワイド研究
  変動する状態としての発達障害


第2章 成人期発達障害診断の現在地と課題 
1 成人の発達障害の患者さんが診断に至るまで 069
  患者さんが受診する四つのきっかけ
  成人の発達障害の患者さんは、受診先に困っている

2 成人期発達障害の診断に関する現状と課題 075
  過剰診断と過小診断の問題
  二次的問題の不可避性
  愛着課題と複雑性PTSDについて
  精神障害との鑑別診断と重複診断について
  ASDADHDの本質とは
  発達障害の診立てにおけるポイント


第3章 成人期発達障害診断の実際――運動ならびに視覚認知機能発達の偏りにも着目して 
1 操作的診断基準に沿った成人期発達障害診断について 099
  成人期における発達障害診断の難しさ
  当院における発達生育歴聴取の実際 

2 成人期発達障害診断における客観的検査について 109
  そもそも発達障害とは何か
  当院で行っている客観的検査について
    電気生理学的検査
    神経心理学的検査
    画像検査
  運動機能発達と視覚認知機能発達の偏りに注目して

3 発達障害診断の今後について 126
  データに見る患者さんの実態
  発達障害診断はどこへ行くのか


第4章 子どもから大人への発達障害診断 
1 発達障害の診断基準において、私が考える課題とは 135
  「発達障害とは何か」「併存症がどのように生じるか」を診てきて 
  「社会生活上の支障」は、生物学的基盤に基づいた診断基準ではない
  「他者から見た行動」では、見逃されるケースがある
  特性が併存している人たちの実態がつかみにくい
  「時間とともに変化する」という視点が盛り込まれていない
  2歳から20代半ばまで変化を追ったNさんの事例

2 生育環境とパーソナリティ形成の関係について 150
  パーソナリティ形成には、大人になるまでの育ち方が影響する
  どの時点で切り取るかによって、特性の見え方が変わる
  発達障害の特性が目立つかどうかは、環境との関係による


第5章 薬物療法の現状と課題 
1 発達障害診療における当科の取り組み 159
  一般精神科医を「対応医」として育成
  対象年齢の拡大によって初診待機期間を減らす

2 症例に見る薬物療法の実際 162
  発達障害の治療薬として使用可能な薬剤
  併存する情緒的障害に対する薬物療法
  症例1 : ADHD+ ASDの20代女性(Aさん)のケース
症例2 : ADHD+ASDの20代男性(Bさん)のケース
症例3 : ADHDの20代男性(Cさん)のケース

3 薬物療法の現状と問題点 177
  診断の確からしさと中枢刺激薬の選択
  薬物療法は全体のごく一部である


第6章 成人期発達障害の心理社会的治療――デイケアでの取り組みについて
1 成人期発達障害の治療とリハビリテーション 183
  当院における心理社会的治療
  発達障害専門プログラムの目的

2 ASDプログラムについて 187
  ASDプログラムの概要
  ASDプログラムの対象者

3 ASDショートケアついて 190
  ASDショートケア参加者の特徴
  ASDショートケア参加者の「困っていること」

4 ASDデイケアについて 194
  ASDデイケア参加者の特徴と目的
  ASDデイケアの内容と効果

5 ADHDショートケアについて 196
  ADHDショートケアの内容
  ADHDショートケア参加者の特徴
  ADHDショートケア参加者の「困っていること」

6 心理社会的治療における課題 200
  発達障害専門デイケアの立ち上げ
  プログラムの導入と内容
  家族への支援
  OB会やサークル活動の役割
  人に慣れるきっかけとしての機能も


第7章 民間における就労支援の現状と今後の予想 
1 当社のサービスの特徴 209
  当社が提供する三つのサービス
  診断名を重視しない
  スタッフ教育で重視すること
  環境を整えるための基本

2 当社のプログラムについて 215
  基本は「自己理解・職業訓練・就職活動」の三つ
  穴埋めや動画を利用しての就労支援

3 今後の障害者雇用の動向について 218
  障害者雇用の大きな流れ
  サテライトオフィスを始めた理由
  就労支援対象者の多様化
  多様な就労支援対象者にどう対応するか
  10代以降の子を持つ親向けの勉強会を開催


第8章 えじそんくらぶの活動――20年の支援で見えてきたもの 
1 NPO法人えじそんくらぶの成り立ちと概要 227
  えじそんくらぶの設立
  えじそんくらぶの活動内容

2 これまでの支援で見えてきたキーワード 229
  見立てと適切な支援
  母親による支援と自立
  早すぎる自立の目標
  教育虐待と過剰適応

3 発達障害のある人への支援の課題 234
  安全基地としてのゲーム
  親の支援
  神経心理ピラミッドを用いた支援
  学校での配慮
  女性と発達障害


監修者・著者紹介 [240-243]






【図表一覧】
図1-1 神経発達症群 023
図1-2 過小診断リスク 027
図1-3 実行機能と報酬系の「二重経路モデル」 031
図1-4 「三重経路モデル」 033
図1-5 脳の成熟過程の比較 037
図1-6 健常群、ADHD群、ADHDASD並存群の比較 042
図1-7 社会性やコミュニケーションの課題の比較 045
図1-8 ADHDに特有の症状の比較 046
図1-9 ADHDASDの並存の仕方による、小児期から青年期にかけての経過の違い 048
図1-10 ADHDASD並存群の症状の発現過程 050
図1-11 成人期ADHDの症状の特徴 055
図1-12 エピジェネティックランドスケープ 059

図2-1 横浜市内クリニックにおける標榜実態 073
図2-2 「発達」障害であること 082
図2-3 精神障害との鑑別診断と重複診断 086
図2-4 精神発達の立体構造(滝川一廣) 089
図2-5 成人期発達障害診断プロセス 094

図3-1 MSPA[Multi-dismensional Scale for PDD and ADHD] 107
図3-2 fMRI画像のサンプル 112
図3-3 DTI画像のサンプル 113
図3-4 「Nature Medicine」掲載図。rs-fcMRIによる脳の機能的結合の評価 113
図3-5 発達障害の患者さんの訴えの内容 128
図3-6 発達障害の患者さんの診断(件数) 130
図3-7 発達障害の患者さんの診断(パーセンテージ) 130

図4-1 ASとADHの強弱と重複のイメージ 142
図4-2 小児期に見られる発達特性は、将来どうなる? 144
図4-3 個と環境の相互作用による特性の現れ方の推移 153

図5-1 ADHD特有の症状に対して使用可能な薬 164
図5-2 薬物両方は全体のごく一部 178

図6-1 ASDプログラム 188
図6-2 ASDプログラムの対象者 189
図6-3 ADHDプログラム 196
図6-4 発達障害専門プログラム 203

図8-1 神経心理ピラミッド 237

『くじ引きしませんか?――デモクラシーからサバイバルまで』(瀧川裕英ほか 信山社新書 2022)

編者:瀧川 裕英[たきかわ・ひろひで](1970-) 法哲学
著者:岡﨑 晴輝[おかざき・せいき](1968-) 政治理論、比較政治学
著者:古田 徹也[ふるた・てつや](1979-) 近現代の哲学・倫理学(Ludwig Josef Wittgenstein研究)。
著者:坂井 豊貴[さかい・とよたか](1975-) 社会的選択理論、マーケットデザイン、メカニズムデザイン。
著者:飯田 高[いいだ・たかし](1976-) 法社会学、法と経済学。
シリーズ:信山社新書 - 法と哲学新書;02
件名:社会科学
件名:法と哲学
件名:偶然性
件名:平等
NDC:300 社会科学
NDC:321.1 法哲学


くじ引きしませんか? ― デモクラシーからサバイバルまで - 信山社出版株式会社 【伝統と革新、学術世界の未来を一冊一冊に】


【目次】
はしがき[瀧川裕英] [iii-x]
目次 [xi-xvi]


1 くじ引きは(どこまで)公正なのか――古代と現代における空想的事例をめぐって[古田徹也] 
はじめに 003

I 古代ギリシアにおける「くじ」 005
  1 世界分領神話とくじ引き
  2 「神意」としてのくじ
  3 プラトンの〈エルの神話〉におけるくじ引きの役割
  4 プラトンの国制構想におけるくじ引きの役割
  5 くじ引きの背景① ――誰がなぜ、いつくじ引きを行うと決めるのか
  6 くじ引きの背景② ――くじ引きによって何が、誰の間で割り当てられるのか
  7 くじ引きの背景③ ――「いかさま」の可能性をどう考慮すべきか

II 現代における「臓器くじ(サバイバル・ロッタリー)」 046
  1 「臓器くじ」とは何か
  2 「臓器くじ」におけるくじ引きという方法それ自体をめぐる諸問題
  3 現代においてくじ引きに対して向けるべき姿勢

注・参考文献 057


2 選挙制・任命制・抽選制[岡﨑晴輝] 
I 抽選制議会 063
  1 抽選制議会論の争点
  2 選挙制議院+抽選制議院の擁護

II 抽選制市民院の構想 071
  1 選挙制参議院から抽選制市民院へ
  2 抽選制市民院の効用
  3 憲法改正の問題
  〈中間考察〉 077

III 抽選官僚制 080
  1 抽選制の自由主義的可能性
  2 混合抽選制の擁護

IV 抽選官僚制の構想 087
  1 最高裁判所への適用
  2 内閣法制局への適用
  3 その他の公職への適用
  結語

注・引用文献 099


3 くじ引き投票制の可能性[瀧川裕英 
I 選挙と抽選 109
  1 くじと民主制
  2 くじ引き投票制
  3 くじ引き投票制の利点と欠点

II 人数問題 119
  1 総和
  2 追加
  3 総和と追加
  4 均等確率説
  5 公平確率説(個人くじ)
  6 くじ引き投票制と公平確率説

III 事前くじと事後くじ 136
  1 抽選が先か、投票が先か
  2 事前くじと事後くじの相違
  3 事後くじの優位?

IV 事前くじの可能性 141
  1 ミニ・パブリックスと事前くじ
  2 裁判員制度と事前くじ
  3 事前くじの優位性
  4 事前くじの欠陥
  5 事前くじの擁護
  6 くじに対する信頼

注・参考文献 157


4 投票かじゃんけんか?[坂井豊貴]
  はじめに 169
  1 ギバード・サタスウェイトの不可能性定理 170
  2 くじの導入による不可能性の回避 174
  3 票数に比例する確率で決定 177
  4 おわりに 180
引用文献 182


5 くじによる財の配分――リスクの観点から[飯田 高] 
I はじめに 185

II リスク選好 188
  1 リスク選好とは
  2 損失の回避
  3 リスク選好に影響する諸要素

III くじによる決定はどれくらい支持されるか――社会調査データの分析 202
  1 調査の概要と集計結果
  2 くじに対する態度の分析

IV 考察とまとめ 213
  1 くじは「平等」か
  2 くじによる決定の望ましさ

V おわりに 220
注・引用文献 221


執筆者紹介 [233]
奥付 [235]
人類と書物の受難の時代に――〈法と哲学〉新書の創刊に寄せて 井上達夫(二〇二二年五月) [236-237]

『ユダヤ人とユダヤ教』(市川裕 岩波新書 2019)

著者:市川 裕[いちかわ・ひろし](1953-) 宗教史学、ユダヤ思想。
NDC:199 ユダヤ教
NDC:227.9 アジア史.東洋史 >> 西南アジア.中東[中近東] >> @イスラエル


ユダヤ人とユダヤ教 - 岩波書店



【目次】
はじめに [i-ii]
目次 [iii-vii]


序章 ユダヤ人とは誰か 001
  ポーランドにて
  「真正のユダヤ人」


第1章 歴史から見る 009
第1節 古代のユダヤ人たち 010
  イエスの出現をどう捉えるか
  賢者輩出の時代
  啓示法の宗教
第2節 イスラム世界からヨーロッパへ 015
  忘れられた歴史を補う
  イスラムとともに
  啓典の民
  地中海社会での繁栄
  アルプスを越えて
  スファラディとアシュケナジ
  レコンキスタとスペイン追放
  新キリスト教徒の再改宗
  安住の地ポーランド
  シュテットルの生活
第3節 国民国家のなかで 036
  メンデルスゾーン
  フランス革命の衝撃
  われわれは何者か?
  ポグロムの恐怖
  アウシュヴィッツ
  世界帝国の興亡とユダヤ
  「ユダヤ人」という選択肢


第2章 信仰から見る 053
第1節 ラビ・ユダヤ教 054
  ユダヤ教は宗教なのか
  ユダイズムとユダヤ教
  ユダイズムとは何か
  持ち運びのできる国家
  二重のトーラー
  ラビたちの決断
第2節 ユダヤ教の根本原則 065
  トーラーに従って生きる
  神殿の供犠
  シナゴーグの礼拝
  シュマアの朗読
  十八祈禱文,十戒,六一三戒
第3節 神の時間秩序 074
  安息日
  一年のサイクル
  一生のサイクル
  祈りの生活
  制度化された断食
第4節 「宗教」としてのユダヤ教 085
  東欧における神秘主義の浸透
  近代のユダヤ教再定義
  世俗化したユダヤ人と民族主義
  二つの定義・三つの集団


第3章 学問から見る 093
第1節 タルムードの学問 094
  トーラーの学習
  イェシヴァ
  タルムードの普及
  タルムードのテキスト
第2節 論争と対話 105
  師匠への奉仕
  モーセに基づかせる 
  矛盾をぶつけることの真意
  ラビたちの議論
第3節 ユダヤ哲学 111
  ギリシア哲学による挑戦
  イスラム世界のギリシア哲学
  哲学者マイモニデス
  律法典の形成
  『シュルハン・アルーフ』による統合
第4節 ユダヤ精神の探究 120
  東欧の肥沃な精神世界
  ヴォロジンのイェシヴァ
  エリ・ヴィーゼルと二人の師
  学ぶことは生きること
  正真正銘のラビとの出会い
  世俗教育との両立


第4章 社会から見る 133
第1節 ユダヤ人の経済活動 134
  商業と金融の民
  利子取得の正当化
  マルクスの主張
  利子取得の二重基準
  ロスチャイルド家
第2節 ユダヤ人の人生の目標 144
  神に選ばれた民
  ノアの七戒と十の心得
  慈善と慈しみの行い
  施しの八段階
第3節 近代メシア論 150
  二つのメシア論
  シオニズム
  離散ユダヤ人は捕囚民か
  ユダヤ的百家争鳴
第4節 ユダヤ社会の現実 160
  ヘブライ語の蘇生
  混合婚をめぐる議論
  二極分化するユダヤ社会
  イスラエル社会の現実
  イスラエル国家のゆくえ
  棄民の視点から


文献解題 173
  歴史について
  ユダヤ教について
  ユダヤの宗教思想について
  ユダヤ思想史について
  トーラー註解について
  タルムードについて
  ユダヤ百科事典『ジュダイカ


図版写真出典 [186]
あとがき(二〇一八年一二月一八日 祝福をかみしめつつ 市川裕) [187-189]

『日本の危機言語――言語・方言の多様性と独自性』(呉人惠[編] 北海道大学出版会 2011)

編者:呉人 惠[クレビト メグミ](1957-)
秋永 一枝[アキナガ カズエ]
加藤 重広[カトウ シゲヒロ]
金田 章宏[カネダ アキヒロ]
木部 暢子[キベ ノブコ]
工藤 真由美[クドウ マユミ]
佐々木 冠[ササキ カン]
佐藤 知己[サトウ トモミ]
菅 泰雄[スガ ヤスオ]
角田 太作[ツノダ タサク]
西岡 敏[ニシオカ サトシ]
日高 水穂[ヒダカ ミズホ]


http://hup.gr.jp/modules/zox/index.php?main_page=product_book_info&products_id=791


【目次】
はじめに i


第 I 部 日本の言語状況


日本の言語状況[佐々木 冠] 
1. 日本国内の八つの危機言語 
2. 新たに生じつつある多様性 
3. 危機に瀕した言語を記録することの意義 
引用・参考文献 


第II部 独自性と現状

第1章 アイヌ語の研究[佐藤知己) 
1. はじめに 
2. アイヌ語と私 
3. アイヌ語の「魔力」
4. アイヌ語の研究を始めたころ
5. アイヌ語の古文書の研究 
6. アイヌ語の実地調査について 
7. 実地調査に基づいて論文を書く 
8. 実地調査研究の意義と白沢さんとの別れ 
9. おむつとおつむ――大切なのは調査の後 
10. おわりに――アイヌ語研究の今後 
引用・参考文献 


第2章 北海道方言――様々な本土方言の融合体[菅 泰雄] 
1. 北海道方言の形成事情 
  北海道の歴史と海岸方言・内陸方言
  北海道方言研究の流れ
2. 移住と方言――徳島方言話者の例 
  静内町本別町と徳島方言
  静内の親子二代のことば
  地域社会の共同体と方言 
3. 伝統的方言の消失と新方言 
  方言カルタの俚言
  北海道の新方言
  新たな「方言の実験室」
引用・参考文献 


第3章 秋田方言――多様性を内包する「仮想方言」のダイナミクス[日高水穂] 
1.「方言」への根源的な問い 
2.「秋田方言」の実体化 
3.「秋田方言」の位置付け 
4.「秋田方言」の継承の現状 
5.「秋田弁危機」のメディア言説 
6.「地域性のインデックス」としての方言 
  方言の社会的位置付けの変遷
  「ふるさと資源」としての方言
  B級グルメと方言 
7.「方言」の現代的な価値 
引用・参考文献 
日本海グロットグラム 


第4章 水海道方言――標準語に近いのに遠い方言[佐々木冠] 
1. はじめに 
2. 形態統語論上の特徴――類型的有標性と無標性 
  三つの連体修飾格
  斜格主語固有の格形式
  標準語よりも「普通」のパターン 
3. 音韻的不透明性 
  関東的な音素目録と東北的な音韻プロセス
  連濁,無声化,p→h,持続性の中和の不透明な相互作用の結果としての硬化
  順列主義の部分的導入以外に解決策はなし
  二つのレベルの存在の背後にあるもの 
4. 若年層における伝統方言の継承 
5. まとめ  
引用・参考文献  


第5章 滅びゆく言語「東京弁」[秋永一枝] 
1. 東京弁とは何か?  
2. 滅びつつあることば  
3. 衰退する訛り,衰退しない訛り  
4. 東京弁アクセントの減少  
5. おわりに  
引用・参考文献  


第6章 八丈方言――古代東国方言のなごり[金田章宏]  
1. はじめに  
  基本データ
  概要など 
2. 東国方言と関わる諸現象 
  形容詞のエ段連体形
  動詞のオ段連体形
  動詞のノマロ形
  推量のナモ
  語彙について
  その他の古風な文法現象
  独自の文法現象 
3. 今後の展望など 
引用・参考文献 


第7章 愛媛県宇和島方言の時間の捉え方――標準語の文法を相対化する視点[工藤真由美] 
1. 方言に体系的な文法はあるか  
2. 方言から標準語の文法を考えるとどうなるか 
3. 宇和島方言は英語とどのような共通性があるか  
4. 整然とした方言アスペクトはどう形成されているか  
5. 宇和島方言の動詞はどのようにグループ化されているか  
6. 動的な出来事を特徴付ける時間的な性質とは何か  
7. 方言の文法は何を提起するか  
引用・参考文献  


第8章 鹿児島方言――南端の難解な方言[木部暢子]  
1. 鹿児島方言の難解さ  
2. 聞き取りにくさの実態  
  母音が短くなる
  音が詰まる 
3. いつごろから聞き取りにくくなったのか  
  ロシアにある薩摩語の資料
  18世紀初頭の薩摩語の状況 
4. 離島の方言  
5. これからの鹿児島方言 
引用・参考文献  


第9章 琉球語――「シマ」ごとに異なる方言[西岡 敏] 
1. 琉球語とは何か 
  シマクトゥバ(島言葉)
  琉球語の音声的特徴
  北琉球方言
  南琉球方言
  首里方言における助詞「に」の表現法 
2. 古代日本語とのつながり 
3. 琉球語の危機 
4. 琉球語の再活性化運動 
引用・参考文献 


第III部 標準語から見る日本語の方言研究

標準語から見る日本語の方言研究[加藤重広] 
1. はじめに 
2. 正しい日本語としての標準語 
3. 標準語の重力と言語研究 
4. 二重ヲ格制約の本質 
5. 状態性述語のテイル化 
6. 内的対照と見えにくい危機 
引用・参考文献 


第IV部 世界から見た日本語の多様性

世界から見た日本語の多様性[角田太作] 
  1. はじめに 
  2. 日本語の共通語 
    日本語の共通語(1):普通の言語である側面
    日本語の共通語(2):珍しい言語である側面 
  3. 日本語の方言と琉球語の方言 
    日本語の水海道方言(茨城県)
    琉球語の波照間方言 
  4. 言語再活性化運動 
  5. 何を記録すべきか? 
引用・参考文献 


付録CDについて 281
  アイヌ語(佐藤知己) 
  北海道方言(菅泰雄)  
  秋田方言(日高水穂)  
  水海道方言(佐々木冠)  
  東京弁(秋永一枝)  
  八丈方言(金田章宏)  
  鹿児島方言(木部暢子)  
  琉球語(西岡敏)  


索引 [305-313]