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目次とメモを置いとく場

『酒[ものと人間の文化史]』(吉田元 法政大学出版局 2015)

著者:吉田 元[よしだ・はじめ](1947-) 発酵醸造学。日本科学技術史、食文化史。
ブックデザイン:梶山 俊夫[かじやま・としお]
シリーズ:ものと人間の文化史;172
NDC:588.5 醗酵工業.酒類


酒 | 法政大学出版局


版元の内容紹介文

 酒の誕生から、神社でつくるようになった古代、世界でも珍しい製法が確立しブランド化する近世までの長い歩みをたどる。古事記や和歌、僧侶や儒者の日記、外国人による紀行文まで、さまざまな文献にかいま見える人々と酒との関わり。主食を原料とするために、飢饉対策や米価の調整で時の政権から受けた規制。酒が原因の失敗や夫婦げんかなど、エピソードも盛りだくさん。


【目次】
口絵 [/]
目次 [i-iii]


第一章 はじまりの酒 001
果実の酒 002
でんぷんの酒 004
  口噛み酒
  モヤシ利用の酒
  カビ利用の酒
酒の起源論 008
日本列島でつくられてきた酒 010
  果実酒
  イモ酒
  麦酒〔むぎざけ〕
  雑穀酒
  米の酒
奄美のミキ 021
日本酒づくりの技術 025


第二章 神酒 031
酒と神 031
  伊勢神宮
  春日大社
  大神〔おおみわ〕神社
  松尾〔まつのお〕大社
  日前〔ひのくま〕・国懸〔くにかかす〕神宮
  宇賀神社
技術からみた神酒 040
  伊勢神宮
  春日大社
  大神神社
  出雲大社
  宇賀神社
  御座石神社
  莫越山〔なこしやま〕神社
酒殿 045


第三章 古代日本の酒 047
古事記』、『日本書紀』にみる酒 047
万葉集』にみる酒 050
造酒司〔みきのつかさ〕の酒づくり 053
  御酒〔ごしゅ〕
  御井酒〔ごいしゅ〕
  醴酒〔れいしゅ〕
  三種糟
  擣糟〔かちそう〕
  頓酒〔とんしゅ〕
  熟酒〔じゅくしゅ〕
  汁糟〔じゅうそう〕・粉酒〔こざけ〕
  釈奠〔せきてん〕の酒
  その他 白酒〔しろき〕・黒酒〔くろき〕
造酒雑器 062
大嘗祭と白酒・黒酒 065
酒造道具類 070
その後の白酒・黒酒 075
  大臣大饗
  式三献 
  五節供
長岡京醸造所の発掘調査 084


第四章 中世・戦国の酒 087
鎌倉武士と酒 087
  『徒然草
  狂言
  職人歌合〔うたあわせ〕
京都の酒屋 094
幕府の酒造統制 098
手づくり酒 099
地方の酒 100
蒸留酒 101
僧坊酒 102
  天野酒〔あまのさげ〕
  菩提泉〔ぼだいせん
興福寺の酒造技術 105
  段掛け
  寒造り〔かんづくり〕・諸白〔もろはく〕造り
  火入れ
  僧侶の飲酒
公卿と酒 110
  十度飲み〔とたびのみ〕
  十種酒
酒迎え 112
武士道 115
外国人による日本酒の評価 一 118
日葡辞書からみる酒 125


第五章 江戸時代の酒 131
幕府の酒造政策と酒株 131
  伊丹
  池田
  灘・今津
  その他
酒造技術書 138
  『童蒙酒造記〔どうもうしゅぞうき〕』
精米 144
設備と作り手 146
  酒蔵
  地下室
  蔵人
酒の輸送 150
  桶と樽
新酒 153
販売 155
新川酒問屋 157
中汲み・諸白・白酒 160
地廻り酒屋と御免関東上酒 162
関東地方の酒屋 167
外国人による日本酒の評価 二 170
千住の大酒会 174


第六章 化政期金沢の食文化──『鶴村日記』を読む 177
城下町の生活 178
家族 180
食材 182
  魚介類
  鳥類
料理の献立 187
  茶懐石
  精進料理
  祭の献立
  報恩講の献立
  料理屋
  外食
油料理・肉料理・異国料理 192
酒 193
その他発酵食品 195
天保飢饉 195


第七章 凶作と飢饉の中で──濁酒、雑穀酒、自家用酒づくり 197
八戸 197
軽米〔かるまい〕 200
三戸〔さんのへ〕 205
  濁酒仕込み法
  イモ酒
  自家用酒
津軽 210
  凶作と酒づくり


第八章 酒の器 215
飲酒器 216
  柏の葉
  瓢〔ひさご〕
  貝
  土器
  塗盃
  猪口〔ちょこ〕
  可杯〔べくはい〕(べくさかずき)
  ガラス杯
注酒器と温酒器 221
運搬容器と貯酒器 226
  瓶子〔へいし〕
  錫
  壺
  太鼓樽〔たいこだる〕
  角樽〔つのだる〕
  指樽〔さしだる〕
  結樽〔ゆいだる〕
  徳利〔とっくり〕
  ガラス壜
  紙パック
醸造容器 236
  甕〔かめ〕・瓮〔もたい〕
  桶


参考文献 [241-248]
あとがき [249-251]




【メモランダム】
・分類表を一部、NDC第9版からコピペした。


[58 製造工業 の下位分類]

580 製造工業
581 金属製品
582 事務機器.家庭機器.楽器
583 木工業.木製品
584 皮革工業.皮革製品
585 パルプ・製紙工業
586 繊維工学
587 染色加工.染色業
588 食品工業
589 その他の雑工業

[588の下位分類]

588.1 砂糖.製糖業.甘味料
588.2 澱粉
588.3 パン.菓子類
588.4 清涼飲料:炭酸飲料,サイダー,ラムネ,果汁,酸性飲料
588.5 醗酵工業.酒類
588.6 調味料:醤油,ソース,食酢,味噌
588.7 香辛料
588.8 製氷業
588.9 食品保存:保存食品

[588.5のさらに下位分類]

588.51 醸造学.醗酵.工業微生物学
588.52 清酒[日本酒]
588.53 老酒
588.54 ビール
588.55 果実酒:ぶどう酒,シャンパン,りんご酒
588.56 アルコール[酒精]
588.57 蒸溜酒:焼酎,高梁酒,ブランデー,コニャック,ウィスキー,ウォッカ,ラム,ジン
588.58 混成酒:味醂,白酒,紅酒,洋酒

『なるほど!赤ちゃん学――ここまでわかった赤ちゃんの不思議』(玉川大学赤ちゃんラボ[編] 新潮社 2014//2012)

編集:玉川大学赤ちゃんラボ
著者:宮崎 美智子
著者:梶川 祥世 
著者:高岸 治人 
著者:村井 千寿子 
著者:高橋 英之 
著者:岡田 浩之 
著者:齋藤 真弓 
編集協力:緑 慎也 (1976-) 
編集協力:後藤 中也
イラスト:Mog
カバー写真:SHAKTI/a.collectionRF/Getty Images
NDC:376.11 幼児・初等・中等教育
件名:乳幼児心理学


http://www.shinchosha.co.jp/book/126491/


【目次】
はじめに(二〇一二年六月 脳科学研究所教授 岡田浩之) [003-006]
目次 [007-010]


第一章 「自分」を知る赤ちゃん[宮崎美智子] 013
1 自分の身体についての認識のはじまり ~胎児期から新生児期 015
  新生児は他人の表情をまねしたり、言語音声に応じた口の形をまねしたりできる
  新生児でも、自分で自分を触る感覚と他者が自分を触る感覚を区別する
  意図的な行為はいつ生まれるか?
  実は生まれる前から意図的に自分の身体を動かせる?
2 はじめての人との関わり・モノとの関わり ~二カ月革命前後 022
  新生児微笑(生理的微笑)から社会的笑いへ
  予測と予測違反を楽しもう!――モビール課題と静止顔の実験
  「いないいないばぁ」で実験
  お母さんのコミュニケーションスタイルを好む
3 お母さん・お父さんを通じて世界を知る ~九カ月革命前後 031
  共同注意と社会的参照
4 まねっこ・まねっこ・まねっこ大好き 一歳ころ~ 035
  目的の理解その1――タッチライトの実験
  目的が見えてなくてもまねできる!――「完遂模倣」
  模倣によるコミュニケーション
  目的の理解その2――ミラーゲームの実験
5 鏡に映った「自分」に気づく 一歳半ころ~ 043
  自分が映っていることの理解を調べる賢い方法――「マークテスト」
  マークテスト以外に自己像の理解を調べる方法
6 さっきの自分・いまの自分・これからの自分 ~四歳ころ  049
  三分遅れの自分と一週間遅れの自分
  二秒遅れの自分を見ると?
  ふたごちゃんの反応


【コラム】玉川赤ちゃんラボとは?[齋藤真弓] 059


第二章 赤ちゃんと音楽[梶川祥世] 063
1 音楽は育児の強い味方 066
  赤ちゃんに音楽を聞かせていますか?
  お母さんの歌いかけにはこんな特徴が
  歌い方を聞き分ける赤ちゃん
2 赤ちゃんへの歌いかけと語りかけ 084
  歌いかけと語りかけの違い
  赤ちゃんは歌いかけと語りかけを区別している?
3 音楽が子どもの発達にもたらすもの 095
  歌いかけに伴う様々な刺激
  ことばの発達と音楽の関わり


【コラム】赤ちゃんの音声の聞き取りや好みをテストする方法 102


第三章 相手にどう働きかける?――子どもの社会行動[高岸治人] 105
1 いつから不公平さを感じるようになるの? 107
  どんなときに不公平と感じるのか
  不公平感に基づいた行動の発達
  不公平感に基づいた行動の社会的な働き
  不公平は嫌だと感じる心
2 相手への思いやり行動はどう発達するの? 121
  共感性と心の理論――相手の気持ちを観じる・想像する
  心の理論と思いやり行動
  自分の評判と思いやり行動

  
【コラム】赤ちゃん研究は大変だ I [齋藤真弓] 136


第四章 赤ちゃんが見ているモノの世界[村井千寿子] 141
1 発達していくいろいろな知識 142
2 赤ちゃんを知る、ヒトを知る 144
  ヒトと動物を比べてみる
  進化の中のヒト
  赤ちゃんの能力の始まり
  サルの赤ちゃん、チンパンジーの赤ちゃん、ヒトの赤ちゃん
3 まとめる、区別する――モノをカテゴリ化する能力 155
  カテゴリ化はモノの世界を整理するルール
  赤ちゃんのカテゴリ化能力を調べる
  赤ちゃんが作るカテゴリ
  カテゴリ化能力を比較する
4 モノのルールを理解する 166
  ルール違反にびっくり
  落ちる? 落ちない?
  「落下のルール」の理解の始まり
  赤ちゃんが見ている世界


【コラム】赤ちゃん研究は大変だ II [齋藤真弓] 177


第五章 赤ちゃんに学ぶロボット、赤ちゃんに教えるロボット[高橋英之] 181
1 赤ちゃんに学ぶロボット 183
  ロボットの動かし方――自律型とオズの魔法使い
  本当は賢くない自律型ロボット
  自律型ロボットの前に立ちふさがる二つの大きな壁
  言葉を覚えていく赤ちゃんの能力
  赤ちゃんからロボットは何を学べるのか
  赤ちゃんから学んだロボットの技術
  自己意識をもつロボット
2 赤ちゃんに教えるロボット 206
  お子さまはロボットがお好き?
  想像上の存在としてのロボット
  となりのトトロは本当にいる?
  ロボットは子供にとって心をもった存在?
  子供はロボットに距離感を感じるか?
  ロボットと仲良くなるとどうなるの?
  トレーナーとしてのロボットの可能性


【コラム】赤ちゃん研究は大変だ III [齋藤真弓] 224


第六章 赤ちゃん学の今と未来[岡田浩之] 229
1 赤ちゃん研究という仕事 230
  「泣きピタ!」と赤ちゃん学
  赤ちゃん向けおもちゃの開発協力
  赤ちゃん研究の難しさ
  最先端の装置が武器
  人の知能の本質を赤ちゃんから探る
2 赤ちゃんはなぜ言葉を覚えられるのか? 243
  人工知能から赤ちゃんの知能の研究へ
  赤ちゃんはどんな言語も話せるようになる
  音には意味がある――音象徴〔おんしょうちょう〕
  対称性の推論が言語獲得のカギ?
  赤ちゃん研究のこれから


文庫版あとがき(二〇一四年十月 岡田浩之) [262-263]
参考文献 [264-269]




【関連記事】
・心理学者による言語獲得の研究としては『レキシコンの構築』(など)がある。

『言葉をおぼえるしくみ――母語から外国語まで』(今井むつみ, 針生悦子 ちくま学芸文庫 2014)

『子どもの脳を傷つける親たち』(友田明美 NHK出版新書 2017)

著者:友田 明美[ともだ・あけみ](1987-) 小児発達科学、小児精神神経学。
編集協力:彌永 由美[やなが・ゆみ]
図版作成:高田 紗英子[たかだ・さえこ]
図版作成:道下 優子[みちした・ゆうこ]
図版作成:吉村 時子[よしむら・ときこ]
シリーズ:NHK出版新書;523
NDC:369.4 社会 >> 社会福祉
NDC:493.937 小児科学(神経系)


https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000885232017.html


 「子どもの前での夫婦喧嘩」、「心ない言葉」、「スマホ・ネグレクト」に「きょうだい間の差別」──。
 マルトリートメント(不適切な養育)が子どもの脳を「物理的」に傷つけ、学習欲の低下や非行、うつや統合失調症などの病を引き起こすことが明らかになった。脳研究に取り組む小児精神科医が、科学的見地から子どもの脳を解明し、傷つきから守る方途と、健全なこころの発達に不可欠である愛着形成の重要性を説く。


【目次】
目次 [003-007]


序章 健全な発達を阻害する脳の傷つき 009
こころと脳の密接な関係
傷つく子どもの脳
子どもの減少に比例しない虐待数
子ども虐待の社会的コスト
脳科学から見守る子どもの発達


第一章 日常のなかにも存在する不適切な養育 023
こころの発達障害とは
こころの発達を妨げる不適切なかかわり
マルトリートメントという考え方
どんな親でも経験があるマルトリートメント
身体的マルトリートメント~体罰は「しつけ」なのか?
屈辱という「こころ」への暴行にもつながる体罰
性的マルトリートメント~表面化しにくい被害に苦しむ子どもたち
子どもと性のかかわりについて親が考えるべきこと
ネグレクト~子どもの健康と安全を脅かす
脳の健やかな発達を促すスキンシップ
ネグレクトなどによる「愛着障害」を防ぐには
スマホ育児をネグレクトにしないために
精神的マルトリートメントとは
子どもの人格を否定する言葉は「しつけ」にならない
子どもは親からの評価があってこそ健やかに育つ
面前DV~両親間の暴力・暴言を見聞きすること
より脳に大きなダメージを与える言葉のDV
外から見える傷はなくても脳は傷ついている
代理ミュンヒハウゼン症候群~注目を浴びたいために子どもを傷つける


第二章 マルトリートメントによる脳へのダメージとその影響 071
トラウマが子どもの発達を妨げる
体罰によって萎縮する前頭前野
性的マルトリートメントによって萎縮する視覚野
ダメージが起きやすい脳の感受性期
暴言によって肥大する聴覚野
面前DVによって萎縮する視覚野
報酬ゲームから見えてきた愛着障害の弊害
生き延びるために適応しようとする人間の脳
マルトリートメント経験のあるなしによる脳の違い


第三章 子どもの脳がもつ回復力を信じて 109
脳の傷は治らないのか
薬物療法心理療法
子どものこころを支える「支持的精神療法」
記憶や感情を整理し、新たな意味づけを行う「曝露療法」
遊びを通してトラウマを克服する「遊戯療法」 トラウマ処理のための新療法
レジリエンスを伸ばすための研究
外傷後成長を促す

ケーススタディ 138
 ① Cちゃん(三歳・女児)、両親間のDV目撃による心理的なマルトリートメント
 ② Dくん(一〇歳・男児)、Eくん(八歳・男児)、母親からのネグレクト・心理的マルトリートメント
 ③ Fくん(一四歳・男子)、父親からの厳格な体罰
 ④ Gさん(一二歳・女子)、両親間のDV目撃、性的マルトリートメント


第四章 健やかな発育に必要な愛着形成 157
愛着とは
愛着の三つの形「安定型」「回避型」「抵抗型」
愛着形成のプロセス
愛着障害とは
反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害
愛着障害発達障害との違い
愛着の再形成を促す
必要とされる親へのケア

ケーススタディ 186
 ① Hちゃん(六歳・女児)、母親の死、娘と向き合えない父親との愛着障害
 ② Iくん(九歳・男児)、親の養育困難による愛着障害
 ③ Jくん(一二歳・男児)、父親の激しい体罰による愛着障害


終章 マルトリートメントからの脱却 199
負の連鎖を断ち切るために
マルトリートメントを予防するための新しい試み
親の「養育脳」を育むオキシトシン
子どものためにできること
求められる養育者支援
社会全体で見守りたい子どものこころの発達


あとがき(二〇一七年七月 友田明美) [214-216]
参考文献 [217-221]





【関連記事】


・本書でも言及されている、「代理ミュンヒハウゼン症候群」について書かれた新書。
『代理ミュンヒハウゼン症候群』(南部さおり アスキー・メディアワークス 2010)


・次の本は本書とスコープが異なっていて、家庭の養育者ではなく学校の教育者の問題について取り上げている。学校における部活動指導者による児童・生徒への虐待・暴力の事例と防止への取り組みを紹介している。
『反体罰宣言――日本体育大学が超本気で取り組んだ命の授業』(南部さおり 春陽堂書店 2019)


・虐待は直接の焦点ではないので関連度は低いかもしれない。近現代日本の教育・しつけのあり方や、現代の偏狭な「しつけ言説」なども取り上げている。
『日本人のしつけは衰退したか――「教育する家族」のゆくえ』(広田照幸 講談社現代新書 1999)





【メモランダム】
・査読偽装についての報道。『毎日新聞』 。
福井大・査読偽装 米ワイリーも論文撤回「自ら不正認める」 | 毎日新聞
・友田明美 教授が橋本謙二 教授と協力し、投稿した学術論文の査読に自ら関与する「査読偽装」をした疑いがある問題についての続報。

 ワイリーはホームページで「査読が操作されたと確認できる証拠を受け取った」と明らかにし、査読に不正があったと認定。その上で「著者と学術誌の編集長、ワイリーが撤回に合意した」と説明した。この問題で撤回された論文は2本になったが、友田教授側が撤回に合意したことが明らかになるのは初めてで、自ら不正を認めた形だ。

『秘書学概論』(全国大学・短期大学秘書教育協会[編] 紀伊国屋書店 1988//1977)

編者:全国大学・短期大学秘書教育協会
 →現在は 一般財団法人 全国大学実務教育協会

 [編集委員
浅川 修二 (北海道文教短期大学 ※2011年に廃止) ※編集委員
宇都宮 垂穂 (園田学園女子短期大学)
奥 喜久男 (豊田短期大学 ※1999年12月廃止)
佐藤 啓子(常磐大学短期大学部 ※現・常磐短期大学)
白川 智洋 (静修短期大学 ※現・札幌国際大学短期大学部
田中 友幸 (福岡女子短期大学)
森脇 道子 (産能短期大学 ※現・産業能率大学)
 [編集協力]
和野内 崇弘 (静修短期大学)
 [執筆者+担当箇所]
和野内 崇弘 (編集協力) 第1章
奥 喜久男 (豊田短期大学) 第2章
田中 篤子 (松蔭女子学院短期大学 ※2011年に廃止) 第3章
佐藤 啓子 (編集委員) 第4章
阿久津昭夫 (静修短期大学) 第5章
堀江 光 (城西大学女子短期大学部城西短期大学と改称) 第6章
浅川 修二 (編集委員) 第7章
田中 友幸 (編集委員)  1 経営
板垣 綬 (関東学院女子短期大学 ※2004年9月廃止) 2 人事・労務
森貞 俊二 (松山東雲短期大学) 3 会計
北原 康司 (佐賀女子短期大学) 4 法律
NDC:336.5 事務管理
備考:高邁な理念の書。


※書影。



【目次】
序文 秘書教育の基本理念(短期大学秘書教育協会 会長 坂田正二) [I-II]
目次 [III-X]


第1章 序論――秘書学を学ぶにあたって
1 秘書理論学習の目的とその必要性 003
 1) 秘書学のすすめ
  (1) 秘書学の特質
  (2) 秘書学の学習領域とその内容
 2) 秘書理論を学ぶことの意義と重要性
  (1) 秘書理論をなぜ学ぶのか
  (2) 秘書理論と秘書実務の関係


2 秘書教育の歩みとこれからの展望 012
 1) 秘書教育の歩み 012
  (1) 概観
  (2) 短期大学における秘書教育
  (3) 企業における秘書養成
  (4) 秘書の検定試
  (5) 秘書の研修
  (6) 秘書研究の歩み
 2) これからの秘書教育の展望と課題 022


第2章 秘書の職能論 秘書業務のアウトライン
1 秘書の役割 027
 1) 秘書の定義
 2) 秘書の役割
 3) 秘書と上司の職能の関係
 4) 付随的補佐と主体的補佐
 5) 間接的補佐と直接的補佐
 6) 秘書役など


2 秘書の業務 031
 1) 秘書の業務
 2) 対人処理業務
  (1) 接遇
  (2) 電話応対
  (3) 連絡・調整
 3) 情報管理業務
  (1) 文書管理
  (2) 情報の収集・処理
 4) 総務業
  (1) オフィス管理
  (2) スケジューリング
  (3) 会議・会合の実務
  (4) 上司の出張業務
  (5) 慶弔と贈答業務
  (6) 会計業務
  (7) 身辺の世話
 5) 非定型業務
 6) 秘書業務処理の基本
  (1) 自らの上司を知ること
  (2) 優先順位の判断
  (3) 計画性
  (4) 原価意識
  (5) 指示と報告
  (6) 人間関係の重要性
  (7) 関連知識の充実
  (8) 秘密保持


第3章 秘書の形態論 秘書のタイプいろいろ 
1 企業における秘書 057
 1) 組織における秘書の位置づけ
  (1) 経営組織における秘書
  (2) 経営組織における秘書の特質
  (3) 組織図にあらわれない秘書組織
 2) 秘書比較論
  (1) さまざまな秘書像
  (2) 日本の女性秘書の一日
  (3) アメリカの女性秘書の一日
  (4) 日米の秘書の比較
  (5) 歴史的推移
 3) 日本型秘書の特質
  (1) 職務内容のあいまいさ
  (2) 日本的経営との関係
  (3) 日本人の意識構造


2 秘書の類型 071
 1) 対応形態による類型
  (1) 個人付秘書
  (2) グループ秘書
  (3) 個人付秘書とグループ秘書の比較
  (4) 折衷型秘書
  (5) 兼務秘書
 2) 業務分担による類型
  (1) 専門職秘書と庶務代行秘書
  (2) 欧米の秘書のランク
  (3) 専門分化による類型


第4章 秘書の資質論 秘書のパーソナリティとキャリア
1 秘書のパーソナリティ 089
 1) 日本の社会とパーソナリティ
 2) 秘書とパーソナリティ
  (1) 社会的に働くとは
  (2) パーソナリティとは
 3) パーソナリティ形成の背景
  (1) 教育による影響
  (2) 自然的環境による影響
  (3) 社会的環境による影響
 4) 秘書として求められるパーソナリティ
  (1) 機密を守ることのできる慎重さを持つこと
  (2) 正確で,信頼される仕事ができること
  (3) 勤勉に努力をすること
  (4) 先見性を持って、つぎつぎと仕事を予見すること
  (5) 臨機応変に柔軟な態度でいろいろな場面に対応できること
  (6) 冷静・沈着しかも“SENSITIVE”であること
  (7) 機転がきき、記憶力にすぐれていること
  (8) 忠実で謙虚であること
 5) パーソナリティ成熟の基準


2 秘書に求められる能力 101
 1) コミュニケーション能力
 2) 情報收集理能力
 3) 人間関係処理能力
 4) 判断能力
 5) 創造能力と想像能力
  (1) 創造能力,想像能力を身につけるには
  (2) 秘書の業務に生かせる創造能力


3 秘書に必要な知識・技能 107
 1) 秘書に必要な知識
 2) 秘書に必要な技能
  (1) 読み、書き, ソロバンなど
  (2) 外国語
  (3) コンピュータなどのOA機器類の操作
  (4) その他


4 秘書と経験 109
 1) 初級的な秘書(Junior secretary)
 2) 中級的な秘書(Senior secretary)
 3) 上級的な秘書(Executive secretary)


5 秘書と健康 111
 1) 健康の維持増進
 2) 精神的健康と肉体的健康
 3) 真に健康であるために


6 パーソナリティ・能力・技能の開発 113
 1) 自己分析からの出発
  (1) C部分――幼児的な部分
  (2) A部分――大人的な部分
  (3) P部分――親的な部分
 2) 自己改革
  (1) 自己を知るためのチェックポイント
  (2) 性格適性の把握
 3) パーソナリティの再構築
 4) 能力・技術の開発
  (1) 能力・技術修得の必要性
  (2) 能力・技術を高める方法


第5章 秘書の情報論 秘書のコミュニケーション
1 秘書と情報 127
 1) 秘書の情報業務
  (1) 秘書の情報業務の内容
  (2) 秘書の情報活動
  (3) 情報業務の基礎能力
 2) 情報とメディア
  (1) 情報の概念
  (2) メディアとコミュニケーション
  (3) ニューメディア
 3) 情報の構造
  (1) 情報の構成
  (3) メディアの特徴
  (2) 情報の論理的構造


2 OAと秘書 142
 1) OA の意義と目的
  (1) OA の概念
  (2) 企業における情報の流れ
 2) OA の技術的背景
  (1) コンピュータの概要
  (2) プログラムシステム
  (3) ワードプロセッサ
  (4) ネットワーク
 3) OA の発展と秘書の役割


第6章 秘書の人間関係論 秘書は組織の潤滑油
1 職場の人間関係 159
 1) 人間をどう見るか
  (1) 社会性――人間は群(ムレ)をなして生きる
  (2) 感情――人間は感情の動物である
  (3) 欲求――人間は自己実現を求める
 2) 仕事と人間
  (1) 組織体と職場
  (2) 職場集団の性格
  (3) インフォーマル・グループ
 3) 人間関係管理から目標による管理まで
 4) 職場の中でどう生きるか


2 秘書とコミュニケーション 170
 1) タテとヨコの意思疎通
  (1) 上司と秘書
  (2) 周囲の人びとと秘書
 2) 意思疎通の流れと手段
 3) 意思疎通を阻むもの
 4) 理解・同情・共感


第7章 これからの社会と秘書の展望 あすの秘書像を求めて
1 ビジネス社会環境の変化と経営 181
 1) 産業構造の変化
  (1) 技術革新と日本の産業
  (2) マイクロ・エレクトロニクス
  (3) これからの技術革新の方向
 2) 情報社会
  (1) 情報社会の意義
  (2) 情報化のもたらす社会への影響
 3) 国際化の進展
  (1) 国際化とは何か
  (2) 国際化のための課題
 4) 高齢化社会の到来
 5) 経済社会の成熟化
  (1) 日本人の勤労観の変化
  (2) 成熟化と活力の維持
 6) 女子労働の発展
  (1) 就業状況
  (2) 今後の女子労働


2 秘書の課題と展望 199
 1) これからの秘書と課題
  (1) これからの経営についての理解
  (2) 情報管理能力の高度化
  (3) 国際化への対応能力
  (4) 人間理解の重要性
 2) 求められる秘書像
  (1) 専門職とは何か
  (2) 専門職への道
  (3) 専門分化について


秘書に必要な経営・法律知識
1 経営 215
 1) 企業と経営
 2) 企業の諸形態
  (1) 企業形態
  (2) 株式会社
  (3) 企業集中
 3) 経営管理と経営組織
  (1) 経営学管理
  (2) 経営組織
 4) 日本的経営


2 人事・労務 230
 1) 人事・労務管理の意味
 2) 就業規則
 3) 採用から退職まで
  (1) 採用
  (2) 配置
  (3) 人事考課
  (4) 昇格(昇進)
  (5) 退職
 4) 教育訓練上能力開発
 5) 労使関係
 6) 男女雇用機会均等法
 7) 福利厚生


3 会計 244
 1) 企業会計
 2) 会計帳簿と財務諸表
  (1) 主要簿
  (2) 補助簿と総勘定元帳
  (3) 財務諸表
 3) 資金管
  (1) 資金の運用
  (2) 資金の調達
  (3) 資金調達コスト
  (4) 資金計画
4) 経営分析
  (1) 財務諸表による分析の限界
  (2) 財政状態――貸借対照表
  (3) 経営成績——損益計算書
  (4) 内部分析と外部分析
  (5) 収益性分析と流動性分析


4 法律 261
 1) 会社の設立
  (1)設立手続き
  (2) 発起人
  (3) 定款
  (4) 設立登記
  (5) その他の届出先
 2) 会社の運営
  (1) 株と株式
  (2) 株主総会の決議
  (3) 取締役の資格と責任
  (4) 取締役会の橋と決議
  (5) 監役の役割
  (6) 関係法律


参考文献 [281-283]
索引 [284-304]
編集後記(編集委員長 浅川修二) [305-306]
編集委員・「秘書学該論」執筆者 [307]





【抜き書き】
・編集後記にある旧版についての記述。これによると本書は三訂版にあたる。

 前回までのテキスト

 全国短期大学秘書教育協会は,坂田会長が序文で書かれているように,“秘書教育の発展をめざして”今までに2回テキストを発行してきた。
第1版『秘書概説一理論と実務―』  1977年 (福永弘之 編集委員長)
第2版『新訂秘書概説―理論と実務―』1981年 (同上)

 第1版の『秘書概説』は,短期大学における秘書教育用としては,最初の体系的テキストであり,その意義は大きかったが,内容・形式的には,研究論文色が強いとの意見が多かった。しかし,その後の秘書教育・研究の著書や論文に大きな影響を与えたのである。
 第2版の『新訂秘書概説』は,『秘書概説』における内容の不足を補い,表現をわかりやすく,かつ統一することによって一段と充実されて広く使用された。

[p.305]




【メモランダム】
・(本書とどの程度関係あるのか自信はもてないが)日本秘書学会(現・ビジネス実務学会)の学会報『秘書学会報』のバックナンバー。
http://jsabs.hs.plala.or.jp/publications/newsletter/pre-newsletter/

『計算の科学と手引き』(辰己丈夫,高岡詠子[編著] 放送大学教育振興会 2019)

編著者:辰己 丈夫[タツミ・タケオ] 数学。
編著者:高岡 詠子[タカオカ・エイコ] 情報工学(データベースとWebアプリケーション、コンピュータと社会)。
著者:西田 知博[ニシダ・トモヒロ] 情報科学(情報教育)。
著者:村上 祐子[ムラカミ・ユウコ] 哲学(20世紀哲学史、情報倫理、人工知能の哲学、情報哲学)。論理学。
NDC:410.9 数学
NDC:549.84 光電変換素子:CCD


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計算の科学と手引き (放送大学教育振興会): 2019|書誌詳細|国立国会図書館サーチ



【目次】
はじめに(著者のひとりとして 辰己丈夫) [003-004]
目次 [005-008]


1 人間の活動と数の表し方[辰己丈夫]010
1.本章での記法(準備) 010
2.数とは何か 011
3.数の名前の定義 013
4.位取り記数法 016
5.数字と記数法 018
6.命数法と、桁区切りと小数点 022


2 二進法・ビット・整数の計算[辰己丈夫]026
1. 数の表記法に関する思考実験 026
2. 二進法とビット 027
3. 基数の変換計算 030
4. 累乗・指数・対数・階乗 035
5. 整数の計算 038


3 計算のしかけ[高岡詠子] 044
1. 四則演算 044
2. 暗算を簡単に行う 045
3. 計算する器具の前身 051
4. コンピュータにとっての計算とは 053


4 数の性質と計算[高岡詠子] 059
1. 情報の誤りの訂正 059
2. プライバシーや個人情報を守る仕組みの基礎 062
3. クレジットカードなどの暗号の仕組み 065


5 絵と音を計算する[高岡詠子] 075
1. 音声情報の表し方 075
2. コンピュータ上の画像情報 079
3. ディジタル・アナログ変換 085


6 おはなしコンピュータ[西田知博] 089
1. コンピュータが計算する手順 089
2. コンピュータが計算するときの動き 093
3. コンピュータでの式と手順の表現 097


7 コンピュータにおける式と手順[西田知博] 107
1. プログラムの制御構造 107
2. 計算の手順化 115


8 アルゴリズム[西田知博] 126
1. アルゴリズムとは 126
2. 生活の中のアルゴリズム 133


9 アルゴリズムと能率[西田知博] 143
1. 計算量とは 143
  (1) アルゴリズムの評価
  (2) 計算量の評価
  (3) オーダ
2. 曜日の計算 148
  (1) 基準日から計算する方法
  (2) ツェラーの公式で計算する方法
3. 探索アルゴリズム 153
  (1) 線形探索
  (2) 2分探索


10 さまざまなアルゴリズム[辰己丈夫]162
1. データの整列 162
2. バブルソート 163
3. 選択ソート 165
4. 挿入ソート 167
5. マージソート169
6. 計算量の比較 170
  (1) 「総当たり整列法」の比較 
    バブルソート
    選択ソート
    挿入ソート
    総当たり整列法の比較
  (2) 「総当たり」ではない整列法


11 集合と確率の計算[辰己丈夫] 176
1. 集合と類別 176
  (1) 同じ集合
2. 集合概念を利用した証明 178
  (1) 中国人余剰定理
  (2) フェルマーの小定理
  (3) 大きな数での剰余(フェルマーの小定理の検算)
3. 確率の考え方 183
  (1) 確率の意味
    確率変数
    確率の定義
    積事象
  (2) 原因の確率
  (3) 条件つき確率
    モンティー・ホール問題
    解説
  (4) 確率を利用した計算(モンテカルロ法
4. 期待値の計算 189


12 データと計算[高岡詠子] 193
1. 情報を定義する 193
2. 情報の価値 196
3. 情報源符号化定理 197
  (1) データ圧縮
  (2) 符号化
  (3) 瞬時復号の条件
  (4) 平均符号長
  (5) 情報源符号化定理
4. 統計的計算の基本 202
  (1) 度数分布
  (2) データの代表値
5. データの散らばり具合 204
6. 正規分布 204


13 論理と計算[村上祐子] 210
1. 論理学とは 210
2. 文と命題 211
3. 推論 213
4. 数学的命題の意味と真理値 213
5. 論理パズル 214
6. 演繹手推論の妥当性 216


14 タブローによる計算[村上祐子]220
1. 演繹的推論の形式化 220
  (1) 人工言語L
2. 代入 223
3. タプロー法による妥当性の判定 227
4. パズルとタプローの関係 233


15 証明と計算[村上祐子] 235
1. 自然数の構造 236
  (1) 数学的論法:背理法数学的帰納法とその拡張
2. 集合と元の個数を数える 242
  (1) 実数の集合Rの濃度と対角線論法
3. 自然数での算術 246
  (1) ペアノ算術

演習問題 247
参考文献 247


演習問題解答 [248-269]
索引 [270-273]
執筆者紹介 [274-275]